FP1級 2023年1月 応用編 問64
非上場会社のX株式会社(以下、「X社」という)の代表取締役社長であるAさん(75歳)の推定相続人は、妻Bさん(71歳)および長男Cさん(48歳)の2人である。
Aさんは、自身の健康面に不安を感じることが多くなったことから、所有するX社株式を長男Cさんに移転し、勇退することを決意した。しかし、X社は保有する土地の資産全体に占める割合が高く、X社株式の移転にあたって、特定の評価会社に該当して株式の相続税評価額が高くなることを懸念している。
X社の概要は、以下のとおりである。
〈X社の概要〉
Aさんは、自身の健康面に不安を感じることが多くなったことから、所有するX社株式を長男Cさんに移転し、勇退することを決意した。しかし、X社は保有する土地の資産全体に占める割合が高く、X社株式の移転にあたって、特定の評価会社に該当して株式の相続税評価額が高くなることを懸念している。
X社の概要は、以下のとおりである。
〈X社の概要〉
- 業種 建築工事業
- 資本金等の額 8,000万円(発行済株式総数160,000株、すべて普通株式で1株につき1個の議決権を有している)
- 株主構成
- 株式の譲渡制限 あり
- 従業員数 70人
※直前期末以前1年間に継続してX社に勤務する従業員の数である(就業規則等で定められた1週間当たりの労働時間が30時間未満の従業員を除く)。 - X社株式の評価(相続税評価額)に関する資料
- X社の比準要素
- 類似業種比準価額計算上の業種目/比準要素/業種目別株価
- すべて1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額である。
- X社の資産・負債の状況
直前期のX社の資産・負債の相続税評価額と帳簿価額は、次のとおりである。
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問64
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、端数処理は、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。なお、X社株式の類似業種比準価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。
円 |
正解
1,386(円) ・総合工事業(中分類)
225円×6.1円7.5円+35円43円+350円337円3×0.7×500円50円 =225円×0.81+0.81+1.033×0.7×500円50円 =225円×0.88×0.7×10 =138.6円×10 =1,386円 ・建築工事業(小分類) 272円×6.1円8.5円+35円56円+350円363円3×0.7×500円50円 =272円×0.71+0.62+0.963×0.7×500円50円 =272円×0.76×0.7×10 =144.7円×10 =1,447円 |
分野
科目:F.相続・事業承継細目:5.相続財産の評価(不動産以外)
解説
類似業種比準価額は、本問のように主として大会社・中会社である非上場会社の株式を同族株主が贈与・相続等により取得した場合、株式の算定に用いる方法です(財評通180~184)。
類似業種比準価額は、類似業種の1株当たりの価格を基礎として、次の算式により配当金額、利益金額、簿価純資産額の3つの要素を比較することで、非上場株式の価格を求めます。なお、計算式中ではすべて1株当たり資本金等の額を50円としたときの金額を用います。まず、類似業種株価を選択します。類似業種は、評価会社の事業が該当する業種目が小分類に区分されていれば小分類と中分類のうち有利なほうを、小分類に区分がなければ中分類と大分類のうち有利なほうを選択できることになっています。X社の建築工事業は小分類に区分されているので、建築工事業(小分類)と総合工事業(中分類)のうち類似業種比準価額が低くなるほうを選択することができます。
斟酌率の基準となる会社の規模は設例で与えられることがほとんどですが、本問では示されていません。取引相場のない株式の評価上の会社規模の区分は次のように判定されます(財評通178)。全部は覚えれられませんが、X社のように従業員数70人以上であれば大会社となることは押さえておきましょう。X社は大会社なので斟酌率は0.7です。計算式に従って2つの類似業種比準価額を求めます。
【建築工事業(小分類)】
272円×6.1円8.5円+35円56円+350円363円3×0.7
=272円×0.71+0.62+0.963×0.7(小数点第2位未満切り捨て)
=272円×0.76×0.7(小数点第2位未満切り捨て)
=144.7円(10銭未満切り捨て)
この額は1株当たり50円としたときの価額なので、X社の実際の1株当たり資本金等の額に相当する額に還元します。X社の1株当たり資本金等の額は「8,000万円÷16万株=500円」なので、計算した金額に乗じる1株当たりの資本金等の額の50円に対する倍数は「500円÷50円=10倍」です。計算の意味としては50で割って1円当たりの金額を求め、それを500倍する形です。
144.7円×500円50円=144.7円×10倍=1,447円
【総合工事業(中分類)】
225円×6.1円7.5円+35円43円+350円337円3×0.7
=225円×0.81+0.81+1.033×0.7(小数点第2位未満切り捨て)
=225円×0.88×0.7(小数点第2位未満切り捨て)
=138.6円(10銭未満切り捨て)
先程と同じく、50円当たりの価格を実際のX社の1株当たり資本金等の額である500円に還元します。
138.6円×500円50円=138.6円×10倍=1,386円
最も低い価額となる方法を選択するという条件があるので、2つを比べて低いほうの1,386(円)が答えとなります。
類似業種比準価額は、類似業種の1株当たりの価格を基礎として、次の算式により配当金額、利益金額、簿価純資産額の3つの要素を比較することで、非上場株式の価格を求めます。なお、計算式中ではすべて1株当たり資本金等の額を50円としたときの金額を用います。まず、類似業種株価を選択します。類似業種は、評価会社の事業が該当する業種目が小分類に区分されていれば小分類と中分類のうち有利なほうを、小分類に区分がなければ中分類と大分類のうち有利なほうを選択できることになっています。X社の建築工事業は小分類に区分されているので、建築工事業(小分類)と総合工事業(中分類)のうち類似業種比準価額が低くなるほうを選択することができます。
斟酌率の基準となる会社の規模は設例で与えられることがほとんどですが、本問では示されていません。取引相場のない株式の評価上の会社規模の区分は次のように判定されます(財評通178)。全部は覚えれられませんが、X社のように従業員数70人以上であれば大会社となることは押さえておきましょう。X社は大会社なので斟酌率は0.7です。計算式に従って2つの類似業種比準価額を求めます。
【建築工事業(小分類)】
272円×6.1円8.5円+35円56円+350円363円3×0.7
=272円×0.71+0.62+0.963×0.7(小数点第2位未満切り捨て)
=272円×0.76×0.7(小数点第2位未満切り捨て)
=144.7円(10銭未満切り捨て)
この額は1株当たり50円としたときの価額なので、X社の実際の1株当たり資本金等の額に相当する額に還元します。X社の1株当たり資本金等の額は「8,000万円÷16万株=500円」なので、計算した金額に乗じる1株当たりの資本金等の額の50円に対する倍数は「500円÷50円=10倍」です。計算の意味としては50で割って1円当たりの金額を求め、それを500倍する形です。
144.7円×500円50円=144.7円×10倍=1,447円
【総合工事業(中分類)】
225円×6.1円7.5円+35円43円+350円337円3×0.7
=225円×0.81+0.81+1.033×0.7(小数点第2位未満切り捨て)
=225円×0.88×0.7(小数点第2位未満切り捨て)
=138.6円(10銭未満切り捨て)
先程と同じく、50円当たりの価格を実際のX社の1株当たり資本金等の額である500円に還元します。
138.6円×500円50円=138.6円×10倍=1,386円
最も低い価額となる方法を選択するという条件があるので、2つを比べて低いほうの1,386(円)が答えとなります。
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