FP1級過去問題 2023年5月学科試験 問30

問30

個人住民税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. X市に住所を有する個人事業主のAさん(46歳)が、Y市に所在する事務所で事業を行っている場合、X市では均等割額が課され、Y市では所得割額が課される。
  2. 40年間勤務した会社を退職した会社員のBさん(63歳)が、退職手当の支払を受けた場合、当該退職手当は、他の所得と区分し、退職手当の支払を受けた年の翌年に所得割額が課される。
  3. ひとり親のCさん(28歳)が、2023年分の収入が給与収入のみで合計所得金額が135万円以下である場合、2024年度分の所得割額は課されず、均等割額のみが課される。
  4. 会社員のDさん(51歳)の2023年分の所得に給与所得以外の所得がある場合、Dさんが普通徴収を希望する場合を除き、当該給与所得以外の所得に係る所得割額は、2024年分の給与所得に係る所得割額および均等割額の合算額に加算して特別徴収が行われる。

正解 4

問題難易度
肢112.1%
肢216.6%
肢325.1%
肢446.2%

解説

  1. 不適切。Aさんに対しては、X市では均等割額と所得割額が課され、Y市では均等割額だけが課されることとなります。個人住民税は、①その行政区域内に住所を有する個人、②それ以外の者で行政区域内に事務所・事業所・家屋敷を有する個人に対して課されます。①の者には均等割額と所得割額を合算した額が課されますが、②の者には均等割額だけが課されます。
  2. 不適切。退職手当等に係る住民税の所得割は、他の所得と分離し、当該退職手当等の支払いを受けるべき年の1月1日におけるその者の住所地において課されます(現年分離課税)。退職所得の受給に関する申告書を提出するとしないとにかかわらず、退職所得金額に対して10%の税率で住民税が源泉徴収され、特別徴収した者が納付することで納税が完結します。翌年に所得割が課されることはありません。退職金を全部使ってしまい、翌年に賦課される住民税の納付で困るということがないように、退職手当については特別な取扱いになっています。
    会社員のBさんが40年間勤務した会社を退職し、退職金の支払を受けた場合、当該退職金に係る所得割は、他の所得と区分し、退職金の支払を受けた年に課される。2022.1-29-2
  3. 不適切。ひとり親であるCさんの前年の合計所得金額が135万円以下である場合、均等割額も所得割額も課されません。障害者、未成年者、寡婦またはひとり親であって、前年の合計所得金額が135万円以下である人は、住民税が非課税となります。
    Cさんがひとり親に該当し、給与収入のみを得ているCさんの2022年分の合計所得金額が135万円以下の場合、2023年度分の均等割と所得割は非課税となる。2022.1-29-3
  4. [適切]。会社員が給与所得以外の所得を有する場合、給与所得以外の所得に係る住民税は、給与所得に係る額と合算して翌年の給与収入から特別徴収(天引き)されます。これが原則ですが、確定申告書で普通徴収を希望する欄にチェックをすることで、給与所得以外の所得に係る住民税を普通徴収によって納付することができます。給与所得以外の副業収入を会社に知られたくない場合などは、普通徴収を選択するのを忘れないようにしましょう。
したがって適切な記述は[4]です。