FP1級 2023年5月 応用編 問54

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(40歳)は、上場株式への投資を始めるにあたって、株価チャートの見方や株価の価格水準の考え方等を理解したいと考えている。具体的には、X社の株式に興味を持っており、下記の〈X社の財務データ等〉や〈X社の株価の推移〉を参考にして投資判断をしたいと思っている。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈2024年3月期のX社の財務データ等〉(単位:百万円)
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〈X社の株価の推移〉(単位:円)
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〈日本国債の利回り〉(単位:%)
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  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問54

Mさんは、Aさんに対して、株価チャートについて説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。
なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

  1. 〈ローソク足〉
     「ローソク足は、一定の取引期間中の株価の値動き(始値、高値、安値、終値)をローソクの形で表現したものです。1日の株価の値動きを1本のローソク足で表したものを日足(ひあし)といい、1週間または1カ月で表したものを、それぞれ週足(しゅうあし)、月足(つきあし)といいます。
     ローソク足は、始値よりも終値のほうが高い場合を陽線と呼び、始値よりも終値のほうが低い場合を陰線と呼びます。一定の取引期間中に株価が大きく動けば長いローソク足、小さく動けば短いローソク足が形成されます。
     始値と終値で囲まれた長方形から上に伸びた線のことを()と呼び、下に伸びた線のことを□□□と呼びます。()は、上値で売り圧力が強まった際に現れ、陰線では高値から()値まで、陽線では高値から□□□までの差が線で示されます」
  2. 〈移動平均線〉
     「株価チャートにおける移動平均線は、一定期間の株価の平均を算出し、それを結んでグラフ化したもので、n日単純移動平均線は通常、n日分の株価の()値の単純平均を用います。X社の株価の場合、6日目の売買立会終了時の5日単純移動平均による株価は()円となります。
     移動平均線は、株価の値動きを平滑化するので、値動きの方向性がわかりやすくなります。短期の移動平均線は、直近の値動きが反映されやすく、値動きの方向性の初動を探る場面で有用です。長期の移動平均線は、株価の値動きに対してゆっくりと反応していきます。値動きの方向性がしっかりと出てから反応するため、短期的な値動きに振り回されることが少なくなるといったメリットがあります」
 

正解 

① 上ヒゲ
② 始(値)
③ 終(値)
④ 840(円)

分野

科目:C.金融資産運用
細目:5.株式投資

解説

〔①、②について〕
ローソク足は、ある一定時間内の株価の値動きを視覚化したもので、時間帯における始値、終値、高値、安値が一目でわかるようになっています。
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長方形から上に伸びる線は「上ヒゲ」と呼ばれ、その時間帯に成立した高値と始値の差を視覚的に見ることができます。上ヒゲは、時間帯中に一時的に価格が上昇したものの、強い売り圧力により最終的には押し戻されて終わった際に出現します。陰線の場合、上ヒゲは高値と始値の差を示します。
よって、①は上ヒゲ、②は(値)が正解となります。

〔③、④について〕
移動平均線は、株価チャート分析やトレンドの確認などで広く用いられる技術的指標で、一定期間ごとの値の平均値を線で結んだ折れ線グラフです。単純移動平均線では、単純にn日間の終値の合計をnで除して求めるため、6日目の終了時の5日単純移動平均は、2日目から6日目までの終値を使って、

 863+885+843+817+7925=840円

よって、③は(値)、④は840(円)が正解となります。