FP1級過去問題 2023年9月学科試験 問50
問50
すべての株式に譲渡制限のある会社(公開会社でない会社)における自己株式に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 会社が特定の株主との合意により当該会社の株式を有償で取得する場合、あらかじめ定時株主総会または臨時株主総会の特別決議が必要である。
- 会社が当該会社の株式を取得する場合における分配可能額は、剰余金の額から自己株式の帳簿価額等を控除した金額の2分の1の金額である。
- 会社が合併や会社分割などの組織再編を行う場合、所定の手続により、新たな株式の発行に代えて、自己株式を交付することができる。
- 自己株式は、議決権その他の共益権を行使することはできず、剰余金の配当請求権もない。
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正解 2
問題難易度
肢119.7%
肢247.1%
肢311.8%
肢421.4%
肢247.1%
肢311.8%
肢421.4%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:10.事業と経営
解説
- 適切。自己株式の取得方法としては、①株主全員に売却機会を与える方法、②特定の株主から取得する方法、③公開買付けで市場から取得する方法の3つがあります。特定の株主から有償で取得する場合には、特定の株主にだけ有利な取引となることを防ぐため、株主総会の特別決議による必要があります(特定の株主は議決権を行使できない)。株主総会の特別決議であればよいので、定時株主総会でも臨時株主総会でも問題ありません。
- [不適切]。分配可能額の算出に2分の1を乗じる箇所はありません。分配可能額とは剰余金の配当や自己株式を買い取る場合に、株主に対して支払われる金銭等の上限金額のことです。分配可能額を算出するために、まずは剰余金の額を求めます。剰余金の額は「その他資本剰余金」と「その他利益剰余金」を合計したものです。さらに、剰余金の額から自己株式の帳簿価額等を控除したものが分配可能額となります。
- 適切。合併や株式交換などの組織再編を行う際に、新株式の発行が行われます。その新株式の発行の代用として、買い戻し等で取得していた自己株式を交付することもできます。新株の発行や自己株式の交付には、いずれも所定の手続きが求められますが、自己株式を代用することで、組織再編をスムーズに行うことができます。
- 適切。自己株式は議決権その他の共益権を行使することはできません。自己株式は、自社が発行した株式を保有している状態です。もし、自己株式の保有に対して議決権その他の共益権を行使できてしまうと、株主総会において経営者側が議決権を保有していることになり、株主の公平性が保たれなくなってしまいます。また、剰余金の配当請求権や残余財産分配の請求権も認められていません。
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