FP1級 2023年9月 応用編 問56

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(46歳)は、これまで投資信託Yで資産運用を行ってきたが、余裕資金が生じたため、投資額を増やしたいと考えている。現在、X社株式(東京証券取引所上場銘柄)と投資信託Zに興味があり、下記の資料を参考にして、投資判断を行いたいと考えている。また、Aさんは、保有している投資信託の運用結果について、どのように評価すればよいのか知りたいと思っている。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈2023年3月期のX社の財務データ等〉(単位:百万円)
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〈投資信託Y・投資信託Zの実績収益率・標準偏差・相関係数〉
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  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問56

《設例》の〈投資信託Y・投資信託Zの実績収益率・標準偏差・相関係数〉に基づいて、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。

  1. 投資信託Yと投資信託Zの共分散はいくらか。
  2. 投資信託Yと投資信託Zを6:4の割合で組み入れたポートフォリオの標準偏差はいくらか。
 

正解 

① 131.25
0.70×12.50×15.00=131.25
② 12.46(%)
0.62×12.502+0.42×15.002+2×0.6×0.4×0.70×12.50×15.00
=155.25
155.25=12.46%(小数点以下第3位四捨五入)

分野

科目:C.金融資産運用
細目:9.ポートフォリオ運用

解説

〔①について〕
2資産の相関係数、標準偏差および共分散には次式の関係があります。

 相関係数=共分散A資産の標準偏差×B資産の標準偏差

本問では、相関係数と標準偏差が与えられているので、2つを使って共分散を求めます。投資信託Yの標準偏差は12.5%、投資信託Zの標準偏差は15%、相関係数は0.7なので、

 0.7=共分散12.5%×15%
 共分散=0.7×(12.5%×15%)
 共分散=0.7×187.5=131.25

よって、正解は131.25となります。

〔②について〕
A・Bという2つの資産から成るポートフォリオの標準偏差は、以下の式で求めます。

 A=標準偏差A×組入比率A
 B=標準偏差B×組入比率B
 分散=A2+B2+(2×A×B×相関係数)
 標準偏差=分散

上記の式に投資信託Yと投資信託Zの値を当てはめます。

 A=12.5×0.6=7.5
 B=15×0.4=6
 分散=7.52+62+(2×7.5×6×0.7)=56.25+36+90×0.7=155.25
 155.25=12.459…
(小数点以下第3位四捨五入)12.46

よって、正解は12.46(%)となります。