FP1級 2023年9月 応用編 問63
問63
仮に、Aさんが現時点(2023年9月10日)において死亡し、《設例》の〈Aさんが所有している甲土地に関する資料〉に基づき、相続税の課税価格の計算上、甲土地の評価額から減額される金額が最大となるように「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受ける場合、貸付事業用宅地等として適用を受けることができる面積を求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は㎡単位とすること。なお、甲土地のうち自宅に対応する部分は特定居住用宅地等、洋菓子店に対応する部分は特定事業用宅地等、賃貸マンションに対応する部分は貸付事業用宅地等にそれぞれ該当するものとする。
㎡ |
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正解
138(㎡) |
分野
科目:F.相続・事業承継細目:7.不動産の相続対策
解説
特定居住用宅地等と特定(同族会社)事業用宅地等を併用する場合は、調整することなくそれぞれの限度面積(330㎡と400㎡)まで適用を受けられますが、貸付事業用宅地とそれ以外の宅地を併用する場合には適用可能面積が以下の式により制限されます。
- 特定事業用の部分(洋菓子店の部分)
- 敷地面積 264㎡×100㎡600㎡=44㎡
相続税評価額 6,600万円×100㎡600㎡=1,100万円 - 居住用の部分(4階部分)
- 敷地面積 264㎡×150㎡600㎡=66㎡
相続税評価額 6,600万円×150㎡600㎡=1,650万円 - 貸付事業用の部分(1階部分50㎡+2階・3階部分)
- 敷地面積 264㎡×350㎡600㎡=154㎡
相続税評価額 6,600万円×350㎡600㎡=3,850万円
★貸家建付地となるので、
3,850万円×(1-60%×30%×100%)
=3,850万円×82%=3,157万円
- 区分ごとに敷地面積1㎡当たりの相続税評価額を求める
- 1.の金額に、特定事業用は1.6、居住用は1.32、貸付事業用は0.5の係数を乗じて、併用式を使った場合の1㎡当たりの減少額を求める(根拠は下記参照)
- 減少額の高いほうから優先して併用式に入れていく。貸付事業用の面積が入る余地がなければ居住用と事業用の併用が有利、そうでなければ貸付事業用地との併用が有利と判定
- 特定事業用の部分(洋菓子店の部分)
- 1,100万円÷44㎡×1.6≒40
- 居住用の部分(4階部分)
- 1,650万円÷66㎡×1.32≒33
- 貸付事業用の部分(1階部分50㎡+2階・3階部分)
- 3,157万円÷154㎡×0.5≒10
特定事業用と居住用の面積を併用式に当てはめると、貸付事業用宅地等の適用面積Sは、
44㎡×200㎡400㎡+66㎡×200㎡330㎡+S≦200㎡
22+40+S≦200
S≦200-22-40
S≦138㎡
したがって正解は138(㎡)となります。
【参考】
- 貸付事業用宅地等は、1㎡当たり50%減額されるので、1㎡当たりの減額割合は0.5
- 併用式中の特定(同族会社)事業用宅地等は、1㎡当たり200㎡/400㎡の面積として評価されその80%が減額されるので、1㎡当たりの減額割合は(400㎡/200㎡)×0.8=1.6
- 併用式中の特定居住用宅地等は、1㎡当たり200㎡/330㎡の面積として評価されその80%が減額されるので、1㎡当たりの減額割合は0.8の(330㎡/200㎡)倍で1.32
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