FP1級過去問題 2024年1月学科試験 問40

問40

土地収用法および収用等の場合の課税の特例に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、「収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除」を特別控除の特例といい、「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」を課税繰延べの特例という。
  1. 収用する土地の取得価格や収用する土地に対する補償金額の算定にあたっては、当該土地の相続税評価額が規準となる。
  2. 土地の収用に伴う補償は、収用する土地および当該土地に関する所有権以外の権利に対する補償に限られ、営業上の損失や建物の移転による賃貸料の損失などの土地所有者が受ける損失は、補償の対象とされない。
  3. 特別控除の特例の適用を受けるためには、公共事業施行者から最初に買取等の申出のあった日から6カ月以内に収用対象資産を譲渡しなければならない。
  4. 課税繰延べの特例の適用を受けた場合、譲渡益のうち代替資産の取得価額の80%に相当する部分の金額に対する課税を将来に繰り延べることができる。

正解 3

問題難易度
肢111.6%
肢217.6%
肢352.4%
肢418.4%

解説

  1. 不適切。相続税評価額ではありません。土地等に対する補償金の額は、当該土地周辺の類似した土地の取引価格や公示価格、不動産鑑定士による鑑定評価額などを考慮して算定されます(土地収用法71条)。
  2. 不適切。土地の収用に関連した営業上の損失(原則として従来の営業収益の2年分の範囲内で適正な額)や賃貸料の損失など、営業を休止することにより収益が減少する額に対しても補償されます(土地収用法88条)。
  3. [適切]。"収用による5,000万円特別控除"の適用を受けるためには、最初に買取り等の申出を受けた日から原則6カ月以内に対象資産を譲渡しなければなりません(措置法33条の4第3項)。
  4. 不適切。80%までではありません。収用に伴う補償金で代替資産を購入し、課税繰延べの特例の適用を受けると、譲渡収入のうち代替資産の取得価額までの部分(=100%)の課税を繰り延べることができます。つまり、譲渡価額≦取得価額であれば譲渡所得はなかったものとなり、譲渡価額>取得価額であれば差額のみが譲渡収入となります(措置法33条)。
したがって適切な記述は[3]です。