FP1級 2024年1月 応用編 問55
Aさん(35歳)は、東京証券取引所に上場している同業種のW社およびX社について、〈W社とX社の財務データ〉を参考に投資判断を行うつもりである。また、株価に大きな影響を与える金融政策や、保有している投資信託Yと投資信託Zについて、それぞれの値動きの相関関係を知りたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈W社とX社の財務データ〉(単位:百万円)〈投資信託Yと投資信託Zの実績収益率・標準偏差・共分散〉
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈W社とX社の財務データ〉(単位:百万円)〈投資信託Yと投資信託Zの実績収益率・標準偏差・共分散〉
- 「***」は、問題の性質上、伏せてある。
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問55
《設例》の〈W社とX社の財務データ〉に基づき、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。「企業の資本効率を測る指標である総資産利益率は、企業が総資産を用いてどれだけの利益を上げることができたのかを測る指標であり、決算短信では、分子を(①)とした総資産(①)率で表記されています。また、総資産利益率の分子が事業利益であるものを使用総資本事業利益率といい、事業利益は、(②)利益と受取利息・配当金を合計したものとされています。
株主としての投資効率を測る指標である自己資本利益率は、有価証券報告書では自己資本利益率と表記され、決算短信では自己資本当期純利益率と表記されています。前者は期末自己資本、後者は期首自己資本と期末自己資本の平均値を用いて算出します。
W社とX社を自己資本利益率で比較すると、W社の値は□□□%、X社の値は(③)%であり、W社の値のほうが上回っています。この結果について、両社の自己資本利益率を売上高当期純利益率、総資本回転率、財務レバレッジの3指標に分解して比較してみると、W社の総資本回転率は(④)回、財務レバレッジは(⑤)倍でX社の値を下回っていますが、W社の売上高当期純利益率は□□□%でX社の値を大きく上回っていることから、W社の収益性の高さが主たる要因と分析することができます」
① |
②利益 |
③% |
④回 |
⑤倍 |
正解
① 経常利益 |
② 営業(利益) |
③ 13.82(%) |
④ 0.58(回) |
⑤ 1.35(倍) |
分野
科目:C.金融資産運用細目:5.株式投資
解説
〔①について〕
決算短信は、企業が有価証券報告書の発表の前に、決算内容の要旨(サマリー情報)を投資家に開示するための資料です。決算短信では、企業の経営成績の質を示す指標として、❶1株当たり当期純利益、❷自己資本当期純利益率、❸総資産経常利益率、❹売上高営業利益率の4つが掲載されています。総資産利益率の分子には「経常利益」が採用されています。
よって、正解は経常(利益)となります。〔②について〕
事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。事業利益は、頻出のインタレスト・カバレッジ・レシオの分子であるため絶対に覚えておきましょう。
よって、正解は営業(利益)となります。
〔③について〕
自己資本利益率は、自己資本に対してどの程度の利益を上げたかを示す指標で「当期純利益÷自己資本×100」で求めます。X社の当期純利益は90,000、自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた「652,000-1,000=651,000」なので、自己資本利益率は、
90,000÷651,000×100=13.824…%
(小数点以下第3位四捨五入)13.82%
よって、正解は13.82(%)となります。
〔④について〕
使用総資本回転率は「売上高÷総資本」で求めます。W社の売上高は126,000、総資本(=総資産)は217,000ですから、
126,000÷217,000=0.580…回
(小数点以下第3位四捨五入)0.58回
よって、正解は0.58(回)になります。
〔⑤について〕
財務レバレッジは、自己資本に対する総資本の割合を示す指標で「総資本÷自己資本」で求めます(自己資本比率の逆数です)。W社の総資本は217,000、純資産の内訳に「新株予約権」と「非支配株主持分」がないため自己資本は純資産と同額の161,000ですから、
217,000÷161,000=1.347…倍
(小数点以下第3位四捨五入)1.35回
よって、正解は1.35(回)になります。
決算短信は、企業が有価証券報告書の発表の前に、決算内容の要旨(サマリー情報)を投資家に開示するための資料です。決算短信では、企業の経営成績の質を示す指標として、❶1株当たり当期純利益、❷自己資本当期純利益率、❸総資産経常利益率、❹売上高営業利益率の4つが掲載されています。総資産利益率の分子には「経常利益」が採用されています。
よって、正解は経常(利益)となります。〔②について〕
事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。事業利益は、頻出のインタレスト・カバレッジ・レシオの分子であるため絶対に覚えておきましょう。
よって、正解は営業(利益)となります。
〔③について〕
自己資本利益率は、自己資本に対してどの程度の利益を上げたかを示す指標で「当期純利益÷自己資本×100」で求めます。X社の当期純利益は90,000、自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた「652,000-1,000=651,000」なので、自己資本利益率は、
90,000÷651,000×100=13.824…%
(小数点以下第3位四捨五入)13.82%
よって、正解は13.82(%)となります。
〔④について〕
使用総資本回転率は「売上高÷総資本」で求めます。W社の売上高は126,000、総資本(=総資産)は217,000ですから、
126,000÷217,000=0.580…回
(小数点以下第3位四捨五入)0.58回
よって、正解は0.58(回)になります。
〔⑤について〕
財務レバレッジは、自己資本に対する総資本の割合を示す指標で「総資本÷自己資本」で求めます(自己資本比率の逆数です)。W社の総資本は217,000、純資産の内訳に「新株予約権」と「非支配株主持分」がないため自己資本は純資産と同額の161,000ですから、
217,000÷161,000=1.347…倍
(小数点以下第3位四捨五入)1.35回
よって、正解は1.35(回)になります。
広告