FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問22

問22

長期国債現物の銘柄を額面1億円保有しているX社が、今後、金利の上昇により債券価格が値下がりすると考え、現在の価格で額面1億円の長期国債先物の売建てを行った。この場合、決済時の価格で長期国債現物の銘柄を売却し、長期国債先物取引を決済したときの現在の価格からみた現物と先物の損益を通算したネットの損益として、次のうち最も適切なものはどれか。
なお、長期国債現物と長期国債先物の価格は下表のとおりとし、手数料や税金等は考慮しないものとする。
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  1. -610万円
  2. -320万円
  3. -30万円
  4. 290万円

正解 3

問題難易度
肢16.8%
肢219.0%
肢359.0%
肢415.2%

解説

現物取引の損益と先物取引の損益に分けて考えていきます。

【現物取引の損益】
額面100円当たり、現在の価格が105.5円、決済時の価格が102.3円です。売却時には現在の価格よりも下がっているので損失が生じていることになります。額面1億円の国債に係る損益は、

 (102.3円-105.5円)×1億円100円=▲320万円

【先物取引の損益】
先物取引で売建てを行ったということは、将来の一定の期日に一定の価格で売る約束をしたことになります。決済時には135円になっているので、135円で売って132.1円で買い戻すことにより、その差額の利益を得ることができます。額面1億円の国債先物に係る損益は、

 (135円-132.1円)×1億円100円=290万円

両者の損益を通算した額がネットの損益となります。

 ▲320万円+290万円=▲30万円

したがって[3]が正解となります。