FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問23

問23

ポートフォリオ運用におけるパフォーマンス評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. シャープ・レシオ(シャープの測度)は、「ポートフォリオの収益率-安全資産利子率」を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除して、標準偏差によるリスク1単位当たりの超過収益率を測定するものである。
  2. トレイナー・レシオ(トレイナーの測度)は、「資本資産評価モデル(CAPM)による期待収益率-ベンチマークの収益率」をポートフォリオのβ(ベータ)で除して、βによるリスク1単位当たりの超過収益率を測定するものである。
  3. ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、「ポートフォリオの収益率-資本資産評価モデル(CAPM)による期待収益率」により算出され、資本資産評価モデル(CAPM)により算出される期待収益率に対するポートフォリオの超過収益率を測定するものである。
  4. インフォメーション・レシオ(情報比)は、「ポートフォリオの収益率-ベンチマークの収益率」をトラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)で除して算出される。

正解 2

問題難易度
肢16.6%
肢259.2%
肢323.0%
肢411.2%

解説

ポートフォリオ運用におけるパフォーマンス評価で問われる5つの手法について押さえて覚えておきましょう。
資本資産評価モデル(CAPM:キャップエム)
●投資家の期待収益率=安全利子率+β×(市場全体の期待収益率-安全資産利子率)
β=対象資産のリスク感応度、ポートフォリオのシステマティック・リスク
ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)
●ポートフォリオの収益率-CAPMの期待収益率
ポートフォリオのパフォーマンスを理論上の期待収益率と比べて評価する
トレイナー・レシオ(トレイナーの測度)
●(ポートフォリオの収益率-安全資産利子率)÷β
βによるリスク当たりの超過収益率の大きさを表す
シャープ・レシオ(シャープの測度)
●(ポートフォリオの収益率-安全資産利子率)÷ポートフォリオの標準偏差(σ)
標準偏差による単位リスク当たりの超過収益率の大きさを表す
インフォメーション・レシオ(情報比)
●(ポートフォリオの収益率-ベンチマークの収益率)÷トラッキングエラー
ポートフォリオとベンチマークの収益率の差(アクティブリターン)を得るためにどの程度効率的だったかを表す
※超過収益率の標準偏差
  1. 適切。シャープレシオ(シャープの測度)は、安全資産利子率に対するポートフォリオの超過収益率を、ポートフォリオの標準偏差で除して求めた値です。

    ポートフォリオの収益率-安全資産利子率ポートフォリオの標準偏差

    シャープ・レシオ(シャープの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除して求める。2016.1-21-b
    シャープ・レシオ(シャープの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除して求める。2014.9-22-3
  2. [不適切]。トレイナーの測度は、安全資産利子率に対するポートフォリオの超過収益率を資本資産評価モデル(CAPM)のβ値で除して求めた値です。

    ポートフォリオの収益率-安全資産利子率β

    トレイナーの測度は、資本資産評価モデル(CAPM)により算出される収益率に対するポートフォリオの超過収益率により、ポートフォリオの運用成果を評価する手法である。2019.9-22-2
  3. 適切。ジェンセンの測度は、ポートフォリオの期待収益率から資本資産評価モデル(CAPM)の期待収益率を差し引いた値で評価します。

    ポートフォリオの収益率-CAPMの期待収益率

    ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのα(アルファ)で除して求める。2016.1-21-c
    ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から、 CAPM(資本資産評価モデル)による収益率(安全資産利子率+β×(市場全体の収益率-安全資産利子率))を差し引いて求める。2014.9-22-4
  4. 適切。インフォメーション・レシオ(情報比)は以下の算式で求めます。

    ポートフォリオの収益率-ベンチマークの収益率トラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)

    インフォメーション・レシオ(情報比)は、ベンチマークの収益率に対するポートフォリオの超過収益率をトラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)で除したものにより、ポートフォリオの運用成果を評価する手法である。2019.9-22-4
    トレイナーの測度は、ベンチマークに対するポートフォリオの超過収益率を、トラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)で除して求める。2016.1-21-a
    インフォメーション・レシオ(情報比)は、ポートフォリオの収益率からベンチマークの収益率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのβ(ベータ)で除して求める。2014.9-22-2
したがって不適切な記述は[2]です。