FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問29

問29

法人税の減価償却に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人はいずれも製造業を営む内国法人(普通法人)であるものとし、当期とは2023年4月1日から2024年3月31日までの事業年度であるものとする。
  1. 主要な事業として行われる貸付の用に供した減価償却資産は、取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満であっても、事業の用に供した事業年度に全額を損金経理により損金の額に算入することはできない。
  2. 前期に取得した減価償却資産について一括償却(3年均等償却)を選択したが、当期において火災により当該資産が焼失した場合、当期において当該資産の未償却残高の全額を損金の額に算入することができる。
  3. 当期に生産調整のために稼働を休止している機械装置であっても、その休止期間中必要な維持補修が行われており、いつでも稼働し得る状態にあるものについては、その減価償却費を損金の額に算入することができる。
  4. 事業の用に供している減価償却資産について選定した償却方法を変更する場合、原則として、その新たな償却方法を採用しようとする年の前年12月31日までに申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

正解 3

問題難易度
肢19.7%
肢212.4%
肢367.1%
肢410.8%

解説

  1. 不適切。取得金額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産は、主要な事業以外の貸付けに供されたものを除き、その取得金額の全額をその事業年度の損金の額に算入できます。本肢は、貸付の用に供していますが、その貸付けが「主要な事業として行われるもの」ですので、全額を損金算入することができます(法人税法令133条)。
    【参考】貸付用が適用外とされているのは、購入した少額減価償却資産(足場、LED照明、ドローンなど)を貸し付けて数年かけて投資額を回収することで課税を繰り延べるスキームを封じるためです。
    当期に取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、青色申告法人ではない法人であっても、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2019.5-31-2
    取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産については、青色申告法人ではない法人であっても、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2018.1-31-3
  2. 不適切。一括償却資産とは、減価償却資産であって取得価額が20万円未満のものについて選択できる償却方法で、3年間で取得価額の3分の1の額を均等に償却します(法人税法令133条の2)。一括償却資産に滅失・除却等が生じても、未償却残高すべてをその期の損金に算入することはできません。あくまでも各年3分の1までの額が上限となります(法基通7-1-13)。
  3. [適切]。減価償却は事業の用に供していることが要件になるため、生産調整のために稼働を休止している機械装置については、原則として減価償却することはできません。しかし、必要な維持補修が行われていつでも稼働し得る状態にある場合は、その償却費を損金の額に算入することができることになっています(法基通7-1-3)。
    生産調整のために稼働を休止している機械装置については、事業の用に供していないため、必要な維持補修が行われていつでも稼働し得る状態にあるものであっても、その償却費を損金の額に算入することはできない。2021.1-30-1
  4. 不適切。減価償却資産の償却方法を変更する場合、新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し承認を受ける必要があります(法人税法令52条)。
    事業の用に供している減価償却資産の償却方法を変更する場合、原則として、新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日から2カ月以内に「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。2021.1-30-4
したがって適切な記述は[3]です。