FP1級過去問題 2024年5月学科試験 問28

問28

居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 納税者が、生計を一にする子の納付が免除されていた国民年金保険料を追納した場合、納付した金額はその支払った年分の納税者の社会保険料控除の対象となる。
  2. 納税者と生計を一にする配偶者に支給される公的年金から介護保険料が特別徴収されている場合、特別徴収された介護保険料は納税者が確定申告をすることにより納税者の社会保険料控除の対象となる。
  3. 医療費控除の控除額の計算において、医療費を補填する保険金等が確定申告時までに支払われていない場合、当該保険金等の見込額を医療費から控除する。
  4. 災害救助法が適用される市町村(特別区を含む)の区域の被災者のための義援金等の募集を行う募金団体(日本赤十字社、新聞・放送等の報道機関等)に対して拠出した義援金等は、その義援金等が最終的に義援金配分委員会等に対して拠出されることが明らかにされているものである場合、寄附金控除の対象となる。

正解 2

問題難易度
肢17.3%
肢275.1%
肢311.8%
肢45.8%

解説

  1. 適切。納税者が、本人および本人と生計を一にする親族等が負担すべき社会保険料を支払った場合、社会保険料控除の対象となります。納付が免除されていた国民年金保険料を追納した場合も、納付した金額の全額が支払った年の社会保険料控除の対象となります。
    納税者が、生計を一にする長男が未納にしていた過去2年分の国民年金保険料を支払った場合、納めた全額がその支払った年分の社会保険料控除の対象となる。2022.5-27-1
    納税者と生計を一にする配偶者が受け取っている公的年金から特別徴収された介護保険料は、確定申告をすることにより、納税者の社会保険料控除の対象とすることができる。2022.5-27-2
    納税者が生計を一にする長女に係る国民年金の保険料を支払った場合、その支払った保険料は納税者の社会保険料控除の対象となる。2021.9-27-2
    納税者が、生計を一にする配偶者が有する家屋を目的とした地震保険の保険料を支払った場合、その支払った保険料は納税者の地震保険料控除の対象となる。2021.9-27-4
    納税者が生計を一にする親族に係る社会保険料を支払った場合、親族の合計所得金額が48万円を超えていても、その支払った社会保険料は納税者の社会保険料控除の対象となる。2019.5-27-2
  2. [不適切]。年金から天引きされている保険料等は、年金受給者本人が支払ったものとされるので、生計を一にする別の納税者の社会保険料控除とすることはできません。なお、納付書で支払った保険料等は、支払った人の所得から控除することができます。
    納税者の配偶者が受け取っている公的年金から特別徴収された介護保険料は、納税者と配偶者が生計を一にしている場合、納税者の社会保険料控除の対象とすることができる。2019.9-28-2
    納税者の配偶者が受け取っている公的年金から特別徴収された介護保険料は、納税者と配偶者が生計を一にしている場合には、納税者の社会保険料控除の対象とすることができる。2015.9-26-1
  3. 適切。医療費を補てんする保険金等の金額が確定申告時までに支払われていない、または確定していない場合には、当該保険金等の見積額を医療費から控除して、医療費控除の金額を算出します。もし後日、保険金等の額が見積額と相違することが判明した場合には、医療費控除額の訂正を行うことになります(所基通73-10)。
  4. 適切。災害救助法が適用される地域の被災者のための義援金等の募集を行う日本赤十字社や新聞・放送等の報道機関等の募金団体に対して拠出した義援金等は、最終的に義援金配分委員会等(法律の規定に基づいて地方公共団体が組織するもの)に拠出されることが明らかな場合、地方公共団体に対する寄附金として、寄附金控除の対象になります(所基通78-5)。
したがって不適切な記述は[2]です。