FP1級 2024年5月 応用編 問58

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 建設業を営むX株式会社(資本金10,000千円、青色申告法人、同族会社かつ非上場会社で株主はすべて個人、租税特別措置法上の中小企業者等に該当し、適用除外事業者ではない。以下、「X社」という)の2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日。以下、「当期」という)における法人税の確定申告に係る資料は、以下のとおりである。

〈X社の当期における法人税の確定申告に係る資料〉
  1. 減価償却費に関する事項
    当期における減価償却費は、その全額について損金経理を行っている。このうち、器具備品の減価償却費は4,500千円であるが、その償却限度額は3,000千円であった。一方、建物の減価償却費は3,900千円であるが、その償却限度額は4,100千円であった。なお、前期からの繰越償却超過額が当該建物について300千円ある。
  2. 退職給付引当金に関する事項
    当期において、決算時に退職給付費用3,500千円を損金経理するとともに、同額を退職給付引当金として負債に計上している。また、退職した従業員に対する退職金8,000千円および中小企業退職金共済の掛金2,200千円の支払の際に退職給付引当金を合計10,200千円取り崩し、いずれも同額を現金で支払っている。
  3. 税額控除に関する事項
    当期における「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」に係る税額控除額が350千円ある。
  4. 「法人税、住民税及び事業税」等に関する事項
    1. 損益計算書に表示されている「法人税、住民税及び事業税」は、預金の利子について源泉徴収された所得税額60千円・復興特別所得税額1,260円および当期確定申告分の見積納税額2,300千円の合計額2,361,260円である。なお、貸借対照表に表示されている「未払法人税等」の金額は2,300千円である。
    2. 当期中に「未払法人税等」を取り崩して納付した前期確定申告分の事業税(特別法人事業税を含む)は720千円である。
    3. 源泉徴収された所得税額および復興特別所得税額は、当期の法人税額から控除することを選択する。
    4. 中間申告および中間納税については、考慮しないものとする。
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問58

前問《問57》を踏まえ、X社が当期の確定申告により納付すべき法人税額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。
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正解 

 1,484,700(円)
8,000,000円×15%+(11,000,000円-8,000,000円)×23.2%=1,896,000円
1,896,000円-350,000円-61,260円
=1,484,700円(100円未満切捨て)

分野

科目:D.タックスプランニング
細目:10.法人税

解説

X社の資本金は10,000千円=1,000万円のため、<資料>のその他の法人に該当します。中小法人の場合、所得金額800万円以下の部分は税率15%、それ以外の部分は税率23.2%を乗じます。問57⑧より所得金額は11,000,000円なので、法人税の算出税額は、
①800万円以下の部分
8,000,000円×15%=1,200,000円
②800万円超の部分
(11,000,000円-8,000,000円)×23.2%=696,000円
合計(①+②)
1,200,000円+696,000円=1,896,000円
《設例》3.税額控除に関する事項より、法人税額の特別控除に係る税額控除額が350,000円あります。法人税額の特別控除は、控除前の法人税額の20%が控除限度額となることが通例ですが20%以内に収まっているので全額を控除することができます。

また問57⑥より、法人税額から控除される所得税額61,260円があるため、それぞれを法人税額から控除して納付すべき法人税額を求めます。

 1,896,000円-350,000円-61,260円=1,484,740円
(100円未満切り捨て)1,484,700円

よって、正解は1,484,700(円)です。