FP1級過去問題 2024年9月学科試験 問28

問28

所得税(復興特別所得税を含む)の源泉徴収に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 国内において支払を受ける特定公社債の利子および預貯金の利子に係る源泉徴収税率は15.315%である。
  2. 国内において支払を受ける原稿料や講演料などの報酬は、同一人に対して1回に支払われる金額が100万円を超える場合、当該報酬額の20.42%相当額が源泉徴収される。
  3. 勤務先から退職金の支払を受ける納税者が、その支払を受ける時までに「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、課税退職所得金額に応じて所定の算式により計算した金額が源泉徴収される。
  4. 公的年金等の受給者が「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出している場合、公的年金等に係る源泉徴収税率は5.105%である。

正解 2

問題難易度
肢125.4%
肢243.6%
肢316.3%
肢414.7%

解説

  1. 適切。特定公社債の利子や預貯金の利子は利子所得となり、受取時に支払額に対して20.315%が源泉徴収されます。そのうち所得税(復興特別所得税を含む)の税率は15.315%、残り5%は住民税なので正しい説明です(所得税法182条)。
  2. [不適切]。個人が受け取る原稿料や講演料などの報酬は、受取時に源泉徴収が行われます。1回に支払われる報酬の金額が100万円を超える場合、100万円以下の部分には10.21%、100万円を超える部分には20.42%の税率で源泉徴収税額が算出されます(所得税法205条)。
  3. 適切。退職金を受け取る前に、納税者が勤務先に対して「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、勤務先で課税退職所得金額に応じて所定の算式により適正な税額を算出して源泉徴収されます。一方「退職所得の受給に関する申告書」の提出をしない場合には、退職手当等の支給額に20.42%の税率を乗じて計算した金額が源泉徴収され、その後退職金等の受給者は確定申告をして納税額を精算します(所得税法201条)。
  4. 適切。公的年金等の支払いを受けるときは、収入金額からその年金に応じて定められている一定の控除額を差し引いた額に5.105%を乗じた金額が源泉徴収されます(所得税法203条の3)。
    「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は支払者に扶養親族の状況を知らせるための書類で、源泉徴収額に人的控除額を反映するために提出します。給与所得者で言うところの「給与所得者の扶養控除等申告書」に当たります(所得税法203条の6)。
したがって不適切な記述は[2]です。