FP1級過去問題 2024年9月学科試験 問27

問27

所得税の雑損控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 会社役員である納税者が所有する時価200万円の絵画が盗難に遭って損失が生じた場合、当該納税者は、確定申告をすることにより、雑損控除の適用を受けることができる。
  2. 個人事業主である納税者が所有する棚卸資産が災害により損壊して損失が生じた場合、当該納税者は、その損失の金額の多寡にかかわらず、雑損控除の適用を受けることができない。
  3. 雑損控除の控除額は、災害関連支出がない場合、損害金額(保険金等により補填される金額を除く)からその年分の総所得金額等の合計額の相当額を控除して計算される。
  4. 青色申告者が雑損控除の適用を受け、その控除額がその年分の総所得金額等から控除しきれない場合、控除しきれない額を前年分の所得に繰り戻して、前年分の所得税額の還付を請求することができる。

正解 2

問題難易度
肢119.6%
肢236.7%
肢323.8%
肢419.9%

解説

雑損控除に関する出題ポイントは以下のとおりです。
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  1. 不適切。雑損控除は、生活に通常必要でない資産には適用されません。絵画や骨とう品、別荘等は生活に通常必要でない資産として雑損控除の対象外です。
    会社員である納税者が、所有する生活に通常必要な資産について詐欺によって一定額以上の損失が生じた場合、確定申告をすることにより、雑損控除の適用を受けることができる。2020.9-28-1
    個人事業主である納税者が、所有する事業用固定資産について災害によって一定額以上の損失が生じた場合、確定申告をすることにより、雑損控除の適用を受けることができる。2020.9-28-2
    納税者が所有する生活に通常必要な資産について災害、盗難または詐欺によって一定額以上の損失が生じた場合、確定申告をすることにより、納税者は雑損控除の適用を受けることができる。2019.9-28-1
  2. [適切]。雑損控除は、棚卸資産や事業用固定資産の損失には適用されません。事業用資産に係る損失は、事業所得等の必要経費に算入することができるためです。
    個人事業主である納税者が、所有する事業用固定資産について災害、盗難または横領によって一定額以上の損害を受けた場合、確定申告をすることにより、納税者は雑損控除の適用を受けることができる。2017.9-28-1
  3. 不適切。雑損控除の額は、以下のいずれか多い額となります。
    • A:差引損失額-(総所得金額等×10%)
    • B:差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円
    災害関連支出の金額がない場合の雑損控除の控除額(Aの式)は、損害金額から保険金等により補填される金額を差し引いて差引損失額を求め、その差引損失額から総所得金額等の10%を引いた金額となります。5%ではありません。
    雑損控除の控除額は、災害関連支出がない場合、損害金額(保険金等により補填される金額を除く)からその年分の総所得金額等の合計額の5%相当額を控除して計算される。2020.9-28-3
    雑損控除の控除額は、災害関連支出がない場合、損害金額(保険金等により補てんされる金額を除く)から総所得金額等の合計額の5%相当額を差し引いて計算される。2016.9-28-2
    雑損控除の額は、「損失額のうち災害関連支出の金額-5万円」または「損失の金額-総所得金額等×10%」のいずれか低い金額である。2015.1-28-4
  4. 不適切。雑損控除は繰戻しできません。雑損控除に認められているのは、最長3年間の繰越控除です。また、青色申告者に認められているのは純損失の繰戻しです。
したがって適切な記述は[2]です。