FP1級過去問題 2024年9月学科試験 問38

問38

印紙税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. マンションの売主である不動産会社が、買主に対し、当該マンションの売買に係る領収証の交付に代えてその内容を記録した電磁的記録を提供する場合、印紙税は課されない。
  2. 個人と不動産会社間の土地の交換契約書において、印紙税の課税標準となる金額は、それぞれの土地の価額が記載されている場合はいずれか高いほう(等価交換のときはいずれか一方)の金額となり、交換差金のみが記載されている場合はその金額となる。
  3. 売主を国、買主を不動産会社とする時価1億円の土地の売買契約において、売買契約書を国と不動産会社が共同で2通作成して、それぞれ1通ずつを保管する場合、国が保管することとなる契約書には印紙税が課されるが、不動産会社が保管することとなる契約書には印紙税が課されない。
  4. 「契約期間は10年、月額賃料は20万円、権利金の額は200万円とする」旨が記載された土地の賃貸借契約書を個人と不動産会社間で作成した場合、当該契約書は、記載金額2,600万円の土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。

正解 4

問題難易度
肢116.7%
肢211.8%
肢329.7%
肢441.8%

解説

  1. 適切。印紙税の課税対象となる文書は、用紙等に課税事項を記載し、当事者間で課税事項を証明する目的で作成されたものです。契約内容等を電磁的記録を提供する場合は、紙に記載という要件を満たさないので印紙税は課されません(印基通44条)。
  2. 適切。印紙税の課税標準は、課税文書に記載された金額です。不動産の交換契約書に交換対象物双方の価額が記載されているときはいずれか高いほう(等価交換ではいずれか一方)の金額が、不動産の価額ではなく交換差金のみが記載されている場合にはその金額が課税標準となります(印基通23条(1))。なお、等価交換において不動産の価額も交換差金の記載もない場合は、記載金額のない文書として200円の印紙税額となります。
    • 甲土地(1,000万円)と乙土地(1,200万円)を交換する ⇒ 1,200万円
    • 甲土地と乙土地を交換し、AはBに200万円を支払う ⇒ 200万円
  3. 適切。印紙税は、国・地方公共団体(以下、国等)が作成した文書には課されません(印紙税法5条2号)。国等とそれ以外の者が契約書等を共同で作成し、それぞれ1通ずつ保存する場合、国等が保存するものは(国等以外の者が作成したとみなして)課税文書、不動産会社など他の者が保存するものは(国等が作成したとみなして)非課税文書となります(印紙税法4条5項)。
  4. [不適切]。賃料は記載金額に含まれません。土地の賃貸借契約書では、賃貸料を除き、権利金のように契約時に相手方に支払われ、将来返還される予定がない金額が記載金額となります。このため本肢では、権利金の額である200万円を記載金額として印紙税が課されます(印基通23条(2))。なお、建物の賃貸借契約書には印紙税は課されません。
したがって不適切な記述は[4]です。