FP1級過去問題 2024年9月学科試験 問39

問39

土地および建物に係る固定資産税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 年の中途に固定資産税の課税対象となる土地が譲渡された場合、譲渡人および譲受人は、その譲渡のあった日の属する年度内のそれぞれの所有期間に応じた固定資産税の納税義務を負う。
  2. 「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」は、自己の居住の用に供する家屋の敷地である宅地に適用することができるものであり、賃貸アパートや賃貸マンションの敷地である宅地には適用することができない。
  3. 「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」の適用を受けている土地上の家屋が管理不全空家等に該当し、その家屋の所有者が市町村長から指導を受けた場合、当該土地は、その家屋を放置すれば特定空家等に該当するおそれのある状態が継続している間は、市町村長から勧告を受ける前であっても、当該特例の対象外となる。
  4. 2階建ての認定長期優良住宅を新築して「新築された認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額」の適用を受けた場合、当該住宅に係る固定資産税は、原則として、当該住宅に対して新たに固定資産税が課されることとなった年度から5年度分の固定資産税額に限り、床面積120㎡までの部分に対する税額の2分の1相当額が減額される。

正解 4

問題難易度
肢16.7%
肢213.4%
肢328.2%
肢451.7%

解説

  1. 不適切。年の中途で土地や家屋が譲渡されたとしても、その譲受人は固定資産税を納付する義務はありません。固定資産税は年税なので、年の中途に譲渡したり取壊したりした場合でも、その年1月1日時点の所有者がその年度分の全額を納付する義務を負います。
    【参考】実務では、年途中の売買のときには、売主と買主の間で固定資産税の負担割合を所有期間で按分して精算するのが一般的です。
  2. 不適切。「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」は、住居部分のある家屋の敷地であれば適用を受けることができます。したがって、自己の居住用住宅の敷地のほか、アパートやマンション等の他人が居住する住宅の敷地にも適用されます。
    「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」は、自己の居住用住宅の敷地である宅地に適用することができるものであり、賃貸アパート等の敷地である宅地には適用することはできない。2023.5-39-2
    「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」の適用を受けている土地上にある自己の居住の用に供している家屋を、2024年12月から賃貸して第三者が居住した場合、その土地は2025年度分から当該特例の対象外となる。2023.1-39-1
    「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」は、自己の居住用住宅の敷地である宅地に適用されるため、賃貸マンション等の自己の居住用住宅以外の住宅の敷地である宅地については適用されない。2022.1-39-2
    「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」は、自己の居住用住宅の敷地である宅地にのみ適用されるため、賃貸アパート等の敷地である宅地については適用されない。2014.9-39-2
  3. 不適切。市町村長は、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、適正に管理されておらず、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある空家等(管理不全空家等)の所有者等に対して、必要な措置をとるよう指導や勧告を行うことができます。この勧告を受けた管理不全空家等の敷地は、勧告を受けた翌年度から特例の適用対象外となります。これにより最高6倍の固定資産税が課されることとなります。
    【参考】従来は特定空家等だけが対象外でしたが、2023年12月の法改正により管理不全空家が新設されたため、こちらも特例の対象外とされました。
    「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」の適用を受けている土地上の家屋が、倒壊等のおそれがある状態となったことで特定空家等に該当し、その空き家の所有者が市町村から改善の勧告を受けた場合、その所有者が賦課期日(1月1日)までに必要な改善措置を講じなかったときは、その年度分から当該特例の対象外となる。2023.1-39-3
  4. [適切]。所定の要件を満たす新築住宅の固定資産税額は、居住部分の床面積のうち120㎡までの税額が、本来の税額の2分の1に軽減されます。軽減される期間は、一般住宅が3年間、認定長期優良住宅が5年間です。また、3階建て以上の中高層耐火住宅の場合、減額期間は一般住宅で5年間、認定長期優良住宅で7年間となります。本肢は「2階建て・認定長期優良住宅」なので、減額期間は5年間です。
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    3階建ての認定長期優良住宅(中高層耐火建築物)を新築して、「新築された認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額」の適用を受けた場合、当該住宅に対して新たに固定資産税が課されることとなった年度から7年度分の固定資産税額に限り、当該住宅に係る固定資産税額(当該住宅の居住部分の床面積が120㎡を超える場合は120㎡に相当する部分の額)の2分の1に相当する額が減額される。2022.1-39-3
    2023年中に2階建ての認定長期優良住宅を新築して居住の用に供し、「新築された認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額」の適用を受けた場合、2024年度から5年度分に限り、当該住宅に係る固定資産税額(当該住宅の居住部分の床面積が120㎡を超える場合は120㎡に相当する部分の額)の2分の1に相当する額が減額される。2019.5-38-3
したがって適切な記述は[4]です。