FP1級過去問題 2024年9月学科試験 問49
問49
使用貸借に係る土地についての相続税および贈与税の取扱い等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- 子が、親から建物の所有を目的として使用貸借により土地を借り受ける場合、借地権の設定に際し、その設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払う取引上の慣行がある地域においても、当該土地の使用貸借に係る使用権の価額は、ゼロとして取り扱われる。
- 子が、親から建物の所有を目的として土地を借り受ける場合、子と親との間に当該借受けに係る土地の公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものは、土地の使用貸借に該当するものとして取り扱われる。
- 子が、親が有する借地権の目的となっている土地の所有権(底地)を地主から購入し、親が無償で子から土地を借りることになった場合、「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を提出しなければ、子から親に借地権の贈与があったものとして取り扱われる。
- 子が、借地権を有する親からその借地権の目的となっている土地を使用貸借により借り受け、その土地上に建物を建築して「借地権の使用貸借に関する確認書」を提出する場合、当該確認書には、子、親および地主の署名が必要とされる。
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正解 3
問題難易度
肢117.8%
肢211.8%
肢345.7%
肢424.7%
肢211.8%
肢345.7%
肢424.7%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:6.相続財産の評価(不動産)
解説
- 適切。建物を所有を目的として個人間の使用貸借により土地を借り受ける場合、借地権の設定について権利金を授受する慣行である地域においても、その使用権の価額は0(ゼロ)円として取り扱われます(使用貸借通達1)。
- 適切。個人間の土地の貸借において、借主から貸主に対して支払う金額が土地の公租公課(固定資産税など)以下の範囲にとどまる場合には、無償で使用収益させる使用貸借に該当するものとして取り扱われます(使用貸借通達5)。これは、使用貸借では借主が借用物の必要費を負担することになっているためです。
- [不適切]。借地権の目的となっている土地(底地)を借地権者以外の者が買い取った場合、本来であれば借地権者から買受人に地代が支払われるべきです。しかし、親子間のように特別な関係のときには地代の授受がないことがあります。この場合、親から子に借地権が贈与されたとみなされて贈与税の課税対象となるのが原則ですが、「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」が提出されたときは、引き続き借地権者は親であるものとみなし、贈与として取り扱わないことになっています(使用貸借通達5)。親の借地権がある土地の所有権(底地)を子が地主から購入して、親が無償で子から土地を借りる場合、「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を所轄の税務署長に提出しないと、親から子に借地権の贈与があったものとして贈与税が課される。(2015.10-49-2)
- 適切。建物を所有を目的として個人間の使用貸借により借地権の転借を受ける場合、「借地権の使用貸借に関する確認書」が提出されたときは、土地の使用貸借と同様に、その使用権の価額は0(ゼロ)円として取り扱われます。「借地権の使用貸借に関する確認書」は、使用貸借の借受人、借地権者、土地の所有者(本肢では子、親、地主)が連署して提出します(使用貸借通達2)。
借地上に借地権者以外が所有する建物が存在する場合、その土地の使用権が、①使用貸借なのか、②借地権の転貸なのか、③借地権の譲渡なのか問題になることがあります。「借地権の使用貸借に関する確認書」は、認定課税や後日の紛議を避けるため使用貸借の事実確認を目的として税務署に提出する書類です。
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