FP1級 2025年1月 応用編 問54

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 Aさん(60歳)は、上場株式や個人向け国債をはじめとした公社債への投資による資産運用を検討している。上場株式については同業種のX社とY社に興味を持っており、X社とY社の財務データを比較したうえで、投資するかどうかを判断したいと考えている。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

〈X社とY社の財務データ等〉(単位:百万円)
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  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問54

《設例》の〈X社とY社の財務データ等〉に基づいて、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~⑦に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

  1. 〈自己資本当期純利益率〉
     「X社とY社を自己資本当期純利益率で比較すると、X社の値が()%、Y社の値が□□□%であり、Y社の値のほうが上回っています。この自己資本当期純利益率について、売上高当期純利益率、使用総資本回転率、()の3指標に分解すると、売上高当期純利益率については、X社の値が()%、Y社の値が□□□%であり、使用総資本回転率は、X社の()回に対して、Y社は□□□回、()は、X社の()倍に対して、Y社は□□□倍となります。この結果から、自己資本当期純利益率の比較において、Y社の値がX社の値を上回る主な要因は、売上高当期純利益率によるものであると考えられます」
  2. 〈負債比率〉
     「X社の負債比率は()%、Y社の負債比率は□□□%です。一般に、負債比率が低いほど財務上の安全性は高くなり、負債比率が100%以下であれば、財務状態は良好と判断されます。なお、負債比率が高いほど、()は大きくなります」
  3. 〈配当性向〉
     「X社とY社を株主への利益還元の度合いを測る指標である配当性向で比較すると、X社の値が()%、Y社の値が□□□%であり、Y社の値がX社の値を上回っています」
 

正解 

① 6.91(%)
② 財務レバレッジ
③ 3.73(%)
④ 0.73(回)
⑤ 2.52(倍)
⑥ 151.01(%)
⑦ 31.07(%)

分野

科目:C.金融資産運用
細目:5.株式投資

解説

〔①について〕
自己資本当期純利益率は「当期純利益÷自己資本×100」で求めます。X社の当期純利益は10,300、自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた「151,000-2,000=149,000」なので、自己資本当期純利益率は、

 10,300÷149,000×100=6.912…%
(小数点以下第3位四捨五入)6.91%

よって、正解は6.91(%)となります。

〔②について〕
自己資本当期純利益率(ROE)は「当期純利益÷自己資本×100」の算式で求めます。この算式は、下記のように❶売上高純利益率、❷使用総資本回転率、❸財務レバレッジの3要素に分解することができ、各要素がROEに与える影響を詳しく分析することが可能です。この分析手法は「デュポン公式」と呼ばれます。

 当期純利益自己資本
当期純利益売上高×売上高総資産×総資本自己資本
=売上高純利益率×使用総資本回転率×財務レバレッジ

よって、正解は財務レバレッジとなります。

〔③について〕
売上高当期純利益率は「当期純利益÷売上高×100」で求めます。X社の当期純利益は10,300、売上高は276,000なので、売上高当期純利益率は、

 10,300÷276,000×100=3.731…%
(小数点以下第3位四捨五入)3.73%

よって、正解は3.73(%)になります。

〔④について〕
使用総資本回転率は「売上高÷総資本」で求めます。X社の売上高は276,000、総資本(=総資産)は376,000ですから、

 276,000÷376,000=0.734…回
(小数点以下第3位四捨五入)0.73回

よって、正解は0.73(回)になります。

〔⑤について〕
②には財務レバレッジが当てはまります。財務レバレッジは、他人資本への依存度を示す指標で「総資本÷自己資本」で求めます。自己資本比率の逆数であり、単位は"倍"です。X社の総資本(=総資産)は376,000、自己資本は①で計算した149,000ですから、財務レバレッジは、

 376,000÷149,000=2.523…
(小数点以下第3位四捨五入)2.52倍

よって、正解は2.52(倍)になります。

〔⑥について〕
負債比率は、自己資本に対する負債の割合をみる指標で「負債÷自己資本×100」で求めます。X社の負債は225,000、自己資本は①で計算した149,000ですから、負債比率(%)は、

 225,000÷149,000×100=151.006…%
(小数点以下第3位四捨五入)151.01%

よって、正解は151.01(%)となります。

〔⑦について〕
配当性向は、当期純利益のうちどれだけの金額を配当金の支払いに充てたかを示す指標で「配当金総額÷当期純利益×100」の算式で求めます。X社の配当金総額は3,200、当期純利益は10,300なので、配当性向は、

 3,200÷10,300×100=31.067…%
(小数点以下第3位四捨五入)31.07%

よって、正解は31.07(%)となります。