FP1級 2025年1月 応用編 問61
Aさん(50歳)は、4年前に父親から相続により取得し、営業を継続していた貸駐車場の用地(500㎡)を2026年中に売却するとともに、その売却資金により甲土地(400㎡)を取得し、甲土地上に賃貸マンションを建築して賃貸事業を開始する予定である。なお、Aさんは、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の適用を受ける予定である。
Aさんが購入する予定の甲土地の概要は、以下のとおりである。
〈甲土地の概要〉
Aさんが購入する予定の甲土地の概要は、以下のとおりである。
〈甲土地の概要〉

- 甲土地は400㎡の長方形の土地である。
- 幅員16mの県道は建築基準法第52条第9項の特定道路であり、特定道路から甲土地までの延長距離は63mである。
- 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
- 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
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問61
Aさんが、下記の〈条件〉で事業用資産である土地を譲渡し、甲土地を取得して、「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。なお、課税の繰延割合は80%であるものとし、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。- 課税長期譲渡所得金額はいくらか。
- 課税長期譲渡所得金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額はいくらか。
〈譲渡資産および買換資産(甲土地)に関する資料〉
- 譲渡資産の面積
- 500㎡
- 譲渡資産の譲渡価額
- 1億円
- 譲渡資産の所有期間
- 40年
- 譲渡資産の取得費
- 不明
- 譲渡費用
- 500万円(仲介手数料等)
- 買換資産の面積
- 400㎡
- 買換資産の取得価額
- 9,500万円
①円 |
②円 |
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正解
① 21,600,000(円) 100,000,000円-95,000,000円×80%=24,000,000円 (100,000,000円×5%+5,000,000円)×24,000,000円100,000,000=2,400,000円 24,000,000円-2,400,000円=21,600,000円 |
② 4,388,000(円) 21,600,000円×15%=3,240,000円
3,240,000円×2.1%=68,040円 3,240,000円+68,040円=3,308,000円(100円未満切捨て) 21,600,000円×5%=1,080,000円 3,308,000円+1,080,000円=4,388,000円 |
分野
科目:E.不動産細目:5.不動産の譲渡に係る税金
解説
「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(3号買換え)」は、国内にある所有期間10年を超える土地等、建物または構築物のうち事業に供しているものを譲渡し、一定の期間内に国内にある事業用の土地等、建物または構築物を取得(建設・製作を含む)し、かつ、取得後1年以内に事業用に供したときに、譲渡資産に係る譲渡益のうち一定割合に対する課税を繰り延べることができる制度です。
この制度の適用を受けると、譲渡価額と取得価額の関係に応じて譲渡所得の収入金額が圧縮されます(繰延割合が80%の場合)。
本問の事例は「②譲渡価額 > 取得価額」に該当するため、譲渡価額から取得価額の80%を控除した額が譲渡収入となります。
2,400万円-(120万円+120万円)=2,160万円
よって、正解は21,600,000(円)となります。
〔②について〕
所有期間5年を超える土地建物の譲渡所得は長期譲渡所得に該当し、所得税15%、復興特別所得税0.315%(所得税額に対して2.1%)、住民税5%の税率で課税されます。
この制度の適用を受けると、譲渡価額と取得価額の関係に応じて譲渡所得の収入金額が圧縮されます(繰延割合が80%の場合)。
- ①譲渡価額 ≦ 取得価額
- 収入金額=譲渡価額×20%
- ②譲渡価額 > 取得価額
- 収入金額=譲渡価額-取得価額×80%

- 収入金額 1億円-9,500万円×80%=2,400万円
- 取得費(不明なので概算取得費)1億円×5%×24%=120万円
- 譲渡費用 500万円×24%=120万円
2,400万円-(120万円+120万円)=2,160万円
よって、正解は21,600,000(円)となります。
〔②について〕
所有期間5年を超える土地建物の譲渡所得は長期譲渡所得に該当し、所得税15%、復興特別所得税0.315%(所得税額に対して2.1%)、住民税5%の税率で課税されます。
- 所得税等
- 所得税 21,600,000円×15%=3,240,000円
復興特別所得税 3,240,000円×2.1%=68,040円
小計 3,240,000円+68,040円=3,308,000円(100円未満切捨て) - 住民税
- 21,600,000円×5%=1,080,000円
- 合計
- 3,308,000円+1,080,000円=4,388,000円
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