FP1級過去問題 2025年5月学科試験 問2

問2

全国健康保険協会管掌健康保険の任意継続被保険者に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 任意継続被保険者となった者は、当該被保険者に係る保険料の全額を負担することとなるが、任意継続被保険者の被扶養者に係る保険料の負担は生じない。
  2. 出産手当金の支給期間中に退職した場合、任意継続被保険者の資格を取得しなければ、引き続き出産手当金の支給を受けることはできない。
  3. 任意継続被保険者は、任意継続被保険者となった日以後に生じた傷病による傷病手当金の支給を受けることができない。
  4. 任意継続被保険者は、任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を保険者に申し出ることにより、任意継続被保険者の資格を喪失することができる。

正解 2

問題難易度
肢110.6%
肢269.6%
肢313.8%
肢46.0%

解説

  1. 適切。任意継続被保険者に所定の要件を満たす配偶者や子などがいる場合、それらの者を被扶養者とすることができます。通常の健康保険と同じく、被扶養者が何人いても追加の保険料の負担は生じません。
    任意継続被保険者の標準報酬月額は、当該任意継続被保険者が被保険者資格を喪失したときの標準報酬月額となり、任意継続被保険者である期間中に変更されることはない。2021.1-1-3
  2. [不適切]。被保険者の資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者が、資格喪失日に出産手当金の支給を受けている場合、退職後も継続して出産手当金の支給を受けられます。任意継続被保険者の資格を取得するかどうかは問いません(健保法104条)。
    出産手当金の支給を受けている健康保険の被保険者が退職した場合、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があるときは、被保険者として受けることができるはずであった期間、退職後も出産手当金の支給を受けることができる。2022.9-2-4
  3. 適切。任意継続被保険者には、原則として傷病手当金・出産手当金は支給されません(健保法99条)。ただし、在職中に支払事由があり、その給付中に任意継続被保険者になった場合は、任意継続被保険者になった後も継続して傷病手当金・出産手当金を受けることができます(健保法104条)。
    任意継続被保険者であるAさんは、原則として、在職中と同様の保険給付を受けることができるが、退職後の傷病による傷病手当金の支給を受けることはできない。2022.1-2-4
  4. 適切。任意継続被保険者の資格は、被保険者の死亡のほか次のいずれかに該当すると喪失します(健保法38条)。
    • 任意継続被保険者になってから2年が経過した
    • 保険料を納付期日までに納付しなかった
    • 健康保険等や後期高齢者医療の被保険者となった
    • 任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を申し出て、その受理日の月末が到来した(2022.1~)
    退職後に収入が減った場合、任意継続よりも国民健康保険に切り替えたほうが保険料負担を抑えられることがあります。かつては任意脱退が認められておらず、保険料を未納にして資格喪失するしか方法がありませんでしたが、現在は「任意継続被保険者資格喪失申出書」の提出より、任意継続から中途脱退することができます。
したがって不適切な記述は[2]です。