FP1級 2025年5月 応用編 問54
Aさん(30歳)は、上場株式と公募株式投資信託への投資を行いたいと考えている。Aさんは、上場株式についてはX社株式(東京証券取引所上場銘柄)に興味を持ち、公募株式投資信託については投資信託Yと投資信託Zの購入を考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社の財務データ〉(単位:百万円)
〈投資信託Y・投資信託Zの予想収益率〉
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社の財務データ〉(単位:百万円)


- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
広告
問54
《設例》の〈X社の財務データ〉に基づいて、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。- 〈ROE、サスティナブル成長率〉
「X社のROEは(①)%です。ROEは、株主が出資した資金で企業がどれだけの利益を上げたのかを示す指標であり、一般に、この数値が高いほど資本効率性が高いと判断されます。また、サスティナブル成長率は、内部留保のみを事業に再投資すると仮定した場合に期待される成長率であり、X社のサスティナブル成長率は(②)%です」 - 〈財務の安全性を測る指標〉
「X社の流動比率は(③)%です。一般に、流動比率が高いほど短期的な債務の返済能力が高いとされています。一方、X社の固定比率は35.38%、固定長期適合率は(④)%です。固定比率は100%以下が望ましいとされますが、仮に、100%を超えていたとしても、固定長期適合率が100%以下であれば、通常、財務の安全性に大きな問題があるとは考えません。固定長期適合率が100%を大きく超える場合には、財務の安全性に問題がある可能性がありますが、設備投資額が大きい製造業などでは、水準が高めになる傾向があります。
また、X社のインタレスト・カバレッジ・レシオは(⑤)倍です。この数値が高いほど金利負担の支払能力が高く、財務に余裕があることを示しますが、同業他社と比較することをお勧めします。また、単年の数値だけでなく、過去のトレンドを把握することで、財務体質が悪化しているか否かを判断することが大切です」
①% |
②% |
③% |
④% |
⑤倍 |
広告
正解
① 8.24(%) |
② 6.18(%) |
③ 376.36(%) |
④ 34.46(%) |
⑤ 162.66(倍) |
分野
科目:C.金融資産運用細目:5.株式投資
解説
〔①について〕
ROE(自己資本利益率)は、自己資本に対してどれだけ利益を上げられるかを示す収益性の指標で「当期純利益÷自己資本×100」の算式で求めます。X社の当期純利益は37,080、自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた「451,200-1,200=450,000」なので、自己資本利益率は、
37,080÷450,000×100=8.24%
よって、正解は8.24(%)となります。
〔②について〕
サスティナブル成長率は、外部資金調達を行わずに内部留保の再投資のみで実現可能な成長率のことで、以下の式で算出されます。
サスティナブル成長率(%)=内部留保率×自己資本利益率×100
【内部留保率】
内部留保率は、当期純利益に対する内部留保額の割合で「内部留保額÷当期純利益×100」で求めます。内部留保額とは、当期純利益のうち配当に充てられなかった額ですから「当期純利益-配当金総額」で計算します。※内部留保率は「1-配当性向」で求めることもできます。
X社の当期純利益は37,080、内部留保額は「37,080-9,270=27,810」なので、内部留保率は、
27,810÷37,080×100=75%
【自己資本利益率】
自己資本利益率は、①で計算した8.24%です。
以上より、X社のサスティナブル成長率は、
75%×8.24%×100
=0.75×0.0842×100=6.18%
よって、正解は6.18(%)となります。
〔③について〕
流動比率は、流動負債に対する流動資産の割合を示す指標で「流動資産÷流動負債×100」の算式で求めます。短期支払い能力を評価する指標であり、一般に200%以上であれば『安全性に問題なし』とされます。X社の流動資産は414,000、流動負債は110,000なので、流動比率は、
414,000÷110,000×100=376.363…%
(小数点以下第3位四捨五入)376.36%
よって、正解は376.36(%)となります。
〔①について〕
固定長期適合率は、固定比率(固定資産÷自己資本×100)の分母に固定負債を加えたもので、自己資本と固定負債の合計に対する固定資産の割合を示します。一般に100%以下が安全性の目安とされます。
固定長期適合率(%)=固定資産自己資本+固定負債×100
固定資産は159,200、自己資本は①で求めた450,000、固定負債は12,000です。したがって、固定長期適合率は、
159,200450,000+12,000×100=34.458…%
(小数点以下第3位四捨五入)34.46%
よって、正解は34.46(%)となります。
〔⑤について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用
事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。
X社の事業利益は「51,200+350+500=52,050」、金融費用は支払利息の320なので、インタレスト・カバレッジ・レシオは、
52,050÷320=162.656…倍
(小数点以下第3位四捨五入)162.66倍
よって、正解は162.66倍です。
ROE(自己資本利益率)は、自己資本に対してどれだけ利益を上げられるかを示す収益性の指標で「当期純利益÷自己資本×100」の算式で求めます。X社の当期純利益は37,080、自己資本の額は、純資産の額から「新株予約権」と「非支配株主持分」の2つを除いた「451,200-1,200=450,000」なので、自己資本利益率は、
37,080÷450,000×100=8.24%
よって、正解は8.24(%)となります。
〔②について〕
サスティナブル成長率は、外部資金調達を行わずに内部留保の再投資のみで実現可能な成長率のことで、以下の式で算出されます。
サスティナブル成長率(%)=内部留保率×自己資本利益率×100
【内部留保率】
内部留保率は、当期純利益に対する内部留保額の割合で「内部留保額÷当期純利益×100」で求めます。内部留保額とは、当期純利益のうち配当に充てられなかった額ですから「当期純利益-配当金総額」で計算します。※内部留保率は「1-配当性向」で求めることもできます。
X社の当期純利益は37,080、内部留保額は「37,080-9,270=27,810」なので、内部留保率は、
27,810÷37,080×100=75%
【自己資本利益率】
自己資本利益率は、①で計算した8.24%です。
以上より、X社のサスティナブル成長率は、
75%×8.24%×100
=0.75×0.0842×100=6.18%
よって、正解は6.18(%)となります。
〔③について〕
流動比率は、流動負債に対する流動資産の割合を示す指標で「流動資産÷流動負債×100」の算式で求めます。短期支払い能力を評価する指標であり、一般に200%以上であれば『安全性に問題なし』とされます。X社の流動資産は414,000、流動負債は110,000なので、流動比率は、
414,000÷110,000×100=376.363…%
(小数点以下第3位四捨五入)376.36%
よって、正解は376.36(%)となります。
〔①について〕
固定長期適合率は、固定比率(固定資産÷自己資本×100)の分母に固定負債を加えたもので、自己資本と固定負債の合計に対する固定資産の割合を示します。一般に100%以下が安全性の目安とされます。
固定長期適合率(%)=固定資産自己資本+固定負債×100
固定資産は159,200、自己資本は①で求めた450,000、固定負債は12,000です。したがって、固定長期適合率は、
159,200450,000+12,000×100=34.458…%
(小数点以下第3位四捨五入)34.46%
よって、正解は34.46(%)となります。
〔⑤について〕
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金などの利息の支払い能力を評価するための指標で、事業利益が金融費用(支払利息・割引料)の何倍であるかを以下の算式で求めます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=事業利益÷金融費用
事業利益は、本業の収益である営業利益に金融収益を足した額です。金融収益とは、営業外利益のうち受取利息・受取配当金・その他投資利益等の合計です。
X社の事業利益は「51,200+350+500=52,050」、金融費用は支払利息の320なので、インタレスト・カバレッジ・レシオは、
52,050÷320=162.656…倍
(小数点以下第3位四捨五入)162.66倍
よって、正解は162.66倍です。
広告