FP1級過去問題 2025年9月学科試験 問8

問8

中小企業の資金調達に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. ビジネスローンは、一般に、資金使途が事業資金に限定されたローンであり、貸金業者が提供するビジネスローンを企業や個人事業主が利用する場合、貸金業法で定める総量規制の対象となる。
  2. ファクタリングは、一般に、企業が保有する債権を担保として金融機関から融資を受ける方法であり、担保の対象となる債権には、売掛債権や診療報酬債権などがある。
  3. 日本政策金融公庫のマル経融資(小規模事業者経営改善資金)は、商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が利用することができる融資制度であり、利用にあたっては、担保および保証人が不要とされている。
  4. 信用保証協会の特定社債保証制度は、一定の基準を満たす中小企業が発行する私募債に係る保証制度であり、利用にあたっては、発行体の代表者と信用保証協会が共同で保証人となり、それぞれが発行額に所定の割合を乗じた金額について保証を行う。

正解 3

問題難易度
肢111.6%
肢216.8%
肢358.9%
肢412.7%

解説

  1. 不適切。貸金業法の総量規制は、個人に対する貸付が対象であり、法人企業への貸付は対象となりません。個人事業主については、事業内容や収支・資金計画を提出し、返済能力があると判断された場合という条件付きではありますが、やはり総量規制の対象外とされます(貸金業法規則10条の23)。
    【補足】総量規制は、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える個人に対する新規貸付けを禁止する制度です。
  2. 不適切。ファクタリングは、企業が持っている売掛金などの売上債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、支払期日より早く現金にする資金調達の方法です。銀行等などから融資を受ける仕組みではありません。対象となるのは売掛金や受取手形、電子債権などで、医療機関では診療報酬債権が活用できます。
    ABL(動産・債権担保融資)は、企業の保有する債権や在庫・機械設備等の動産を担保として資金調達する方法であり、担保の対象となる債権には、売掛債権のほか、診療報酬債権や工事請負代金債権などがある。2015.1-8-4
  3. [適切]。マル経融資(小規模事業者経営改善資金)は、小規模事業者に該当する商工業者が無担保・無保証人で利用できる融資制度です。利用できるのは、商工会議所や商工会などが実施する経営指導を受けている小規模事業者(商工業者限定)であって、商工会議所長や商工会長の推薦を受けた者とされています。
  4. 不適切。発行体の代表者は保証人にはなりません。特定社債保証制度とは、中小企業・小規模事業者が社債を発行する際に、信用保証協会が社債取扱金融機関と共同で保証人になる制度です。信用保証協会は社債発行額の80%を保証し、金融機関が残りの部分の保証を行います。
したがって適切な記述は[3]です。