FP1級過去問題 2025年9月学科試験 問7

問7

確定拠出年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 企業型年金加入者が企業型年金加入者掛金を拠出(マッチング拠出)している期間は、個人型年金加入者掛金を拠出することができない。
  2. 個人型年金加入者が老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰り上げて受給した場合、個人型年金加入者の資格を喪失する。
  3. 企業型年金加入者が、傷病により、その障害認定日において厚生年金保険法に規定する障害等級1級から3級に該当する程度の障害の状態に至った場合、所定の手続により、障害給付金の支給を受けることができる。
  4. 個人型年金加入者が老齢給付金を60歳から受け取るためには、通算加入者等期間が10年以上必要となるが、当該期間には、原則として、60歳に達する日の前日が属する月以前の期間であって、掛金を拠出せずに個人別管理資産の運用指図のみを行っていた期間も含まれる。

正解 3

問題難易度
肢119.7%
肢227.9%
肢336.4%
肢416.0%

解説

  1. 適切。マッチング拠出とは、勤務先で企業型確定拠出年金(企業型DC)を実施している場合に、加入者本人が、会社の拠出する掛金に上乗せする形で掛金を拠出する制度です。マッチング拠出をしている期間は個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できません(DC法62条4項6号)。
    企業型年金の加入者が退職して、国民年金の第3号被保険者となり、企業型年金の年金資産を国民年金基金連合会に移換した場合、引き続き、個人型年金の加入者として掛金を拠出することができる。2015.1-5-c
  2. 適切。老齢基礎年金・老齢厚生年金・iDeCo老齢給付金の受給権者は、iDeCoに加入して掛金を拠出することはできません。このため年金の繰上げを請求した場合、iDeCoの加入資格を喪失し、その後は運用指図者という立場になります(DC法62条2項)。
  3. [不適切]。3級は対象外です。確定拠出年金では、傷病により一定以上の障害状態になった場合に障害給付金が支給されます。「一定以上の障害状態」とは国民年金法が規定する障害状態、すなわち障害等級1級・2級とされています(DC法令19条)。
    国民年金基金の加入員が国民年金法に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態になった場合、国民年金基金から所定の障害給付を受給することができる。2022.5-7-3
  4. 適切。iDeCoの老齢給付金を60歳から受け取るには、60歳時点で通算加入者等期間が10年以上必要です。通算加入者等期間とは、企業型DCとiDeCoの両方における、加入者期間と運用指図者期間を合わせた期間をいいます(DC法33条2項)。運用指図者とは、新たに掛金を拠出せずに、資産配分の調整や投資商品の変更といった運用指示のみを行う人です。
したがって不適切な記述は[3]です。