FP1級 2025年9月 応用編 問51

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】
 X株式会社(以下、「X社」という)に勤務するAさん(43歳)は、妻Bさん(38歳)、長男Cさん(11歳)および二男Dさん(8歳)との4人暮らしである。Aさんは、同僚が病気で入院していることを知り、自身が病気やケガで仕事を休むことになった場合の社会保険の給付や、公的年金の障害給付および遺族給付について知りたいと思っている。
 そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。Aさんの家族に関する資料は、以下のとおりである。

〈Aさんの家族に関する資料〉
  1. Aさん(本人)
    • 1982年6月25日生まれ
    • 公的年金の加入歴
      2002年6月から2005年3月までの大学生であった期間(34月)は、国民年金の学生納付特例制度の適用を受けていた(保険料は追納していない)。
      2005年4月から現在に至るまで厚生年金保険の被保険者である(厚生年金基金の加入期間はない)。
    • 全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者である。
  2. Bさん(妻)
    • 1987年8月7日生まれ
    • 公的年金の加入歴
      2007年8月から2010年3月までの大学生であった期間(32月)は、国民年金の学生納付特例制度の適用を受けていた(保険料は追納していない)。
      2010年4月から現在に至るまで厚生年金保険の被保険者である(厚生年金基金の加入期間はない)。
    • 全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者である。
  3. Cさん(長男)
    • 2014年5月13日生まれ、小学生
  4. Dさん(二男)
    • 2016年10月20日生まれ、小学生
  • 妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、Aさんと同居し、Aさんによって生計を維持されているものとする。
  • 妻Bさん、長男Cさんおよび二男Dさんは、現在および将来においても、公的年金制度における障害等級に該当する障害の状態にないものとする。
  • 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

問51

Mさんは、Aさんに対して、健康保険の傷病手当金および労働者災害補償保険(以下、「労災保険」という)の休業補償給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~⑦に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。
  1. 〈健康保険の傷病手当金〉
     「Aさんが、業務や通勤以外の事由による傷病の療養のため、働くことができずに休業し、その期間についてX社から給与が支払われない場合、Aさんは、連続した()日間の休業(待期期間)の後、□□□日目以降の休業した日について、所定の手続により、健康保険の傷病手当金の支給を受けることができます。傷病手当金の支給期間は、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病に関しては、その支給開始日から通算して最長()です。
     仮に、傷病手当金の支給開始日の属する月以前の直近の継続した12カ月間のAさんの各月の標準報酬月額の平均額が36万円であり、傷病手当金の支給対象となる日についてX社から給与が支払われない場合、Aさんが受給することができる傷病手当金の額は、1日につき、()円となります」
  2. 〈労災保険の休業補償給付〉
     「Aさんが、業務上の傷病の療養のため、働くことができずに休業し、その期間についてX社から給与が支払われない場合、Aさんは、□□□日目以降の休業した日について、所定の手続により、労災保険の休業補償給付および休業特別支給金の支給を受けることができます。その給付額は、原則として、1日につき、休業補償給付については休業給付基礎日額の()%相当額であり、休業特別支給金については休業給付基礎日額の()%相当額です。
     なお、業務上の傷病の療養開始後()を経過した日以後において、その傷病が治癒せず、当該傷病による障害の程度が、労災保険における傷病等級1級、2級または3級に該当する場合には、休業補償給付に代えて、()が支給されます。()の年金額は、その傷病等級に応じて、年金給付基礎日額の313日分、277日分または245日分となります。
     一方、傷病が治癒すると、休業補償給付や()は支給されなくなりますが、当該傷病による障害が残った場合は、その障害の程度が労災保険における障害等級1級から()級までのいずれかに該当するときは障害補償年金、障害特別支給金、障害特別年金が支給され、□□□級から□□□級までのいずれかに該当するときは障害補償一時金、障害特別支給金、障害特別一時金が支給されます。
     なお、同一の事由により休業補償給付または()もしくは障害補償年金と障害基礎年金や障害厚生年金の支給を受ける場合、休業補償給付または()もしくは障害補償年金は、それぞれ所定の調整率により減額して支給されます」
日間
 
 

正解 

① 3(日間)
② 1年6カ月
③ 8,000(円)
④ 60(%)
⑤ 20(%)
⑥ 傷病補償年金
⑦ 7(級)

分野

科目:A.ライフプランニングと資金計画
細目:4.社会保険

解説

〔①について〕
傷病手当金は、業務外の事由による病気やケガの療養のために仕事に就くことができず、連続して3日間会社を休んだとき、4日目以降の賃金支払いのない日について支給されます。
よって、正解は3(日目)となります。

〔②について〕
傷病手当金の支給期間は、同一の傷病について支給開始日から通算して1年6カ月に達する日までです。
よって、正解は1年6カ月となります。

〔③について〕
1日当たりの傷病手当金の額は、直近12カ月の標準報酬月額の平均を30分の1にして求めた報酬日額の3分の2相当額です。
1/402.png/image-size:452×42
本問では直近12カ月間の標準報酬月額が36万円なので、

 360,000円÷30×23=8,000円

よって、正解は8,000(円)となります。

〔④、⑤について〕
休業補償給付は、労働者が労災の療養のために休業し賃金を受けられない場合に、休業4日目から休業給付基礎日額の60%相当額が支給されます。休業特別支給金は、労災保険の社会復帰促進等事業として行われる休業補償給付の上乗せ給付で、休業給付基礎日額の20%相当額が支給されます。
よって、④は60(%)、⑤は20(%)が正解となります。

〔⑥について〕
労災による療養開始から1年6カ月が経過した時点で傷病が治っておらず、当該傷病による障害の程度が傷病等級1級から3級に該当する場合は、それまで支給されていた休業補償給付の支給は停止され、代わりに傷病補償年金が支給されるようになります。一方、傷病等級1級から3級に該当しない場合は、傷病が治るまで引き続き休業補償給付が支給されます。
本問では「休業補償給付」から切り替わる給付なので「傷病補償年金」が適切となります。ちなみに労災保険の給付は、業務災害では「○○補償▲▲」、通勤災害では「○○▲▲」という名称になっています。通勤災害は事業主の休業補償義務がないためです。
よって、正解は傷病補償年金となります。
1/444.png/image-size:408×134
〔⑦について〕
労災による傷病が治癒したときに身体に障害が残っている場合には、障害(補償)給付の支給対象となります。障害(補償)給付では、障害等級を第1級から第14級までの14段階に分けていて、1級~7級(上半分)は年金での支給、8級~14級(下半分)は一時金での支給となっています。
よって、正解は7(級)となります。
1/446.png/image-size:488×140