FP1級 2025年9月 応用編 問55
 Aさん(30歳)は、東京証券取引所に上場しているX社株式と、追加型株式投資信託である投資信託Yおよび投資信託Zに投資することを検討しており、株式や投資信託に係る投資指標等について理解したいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社の財務データ等〉(単位:百万円)
〈投資信託Yと投資信託Zの実績収益率・標準偏差〉
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
〈X社の財務データ等〉(単位:百万円)


- 「***」は、問題の性質上、伏せてある。
 - 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
 
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問55
Mさんは、Aさんに対して、投資信託の個別元本の計算およびパフォーマンス評価について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。
- 〈個別元本の計算〉
「追加型株式投資信託を初めて購入する場合、購入時の基準価額が投資家の個別元本となりますが、その後、同一銘柄を追加で購入したときは、個別元本が再計算されます。仮に、下記の〈資料〉に基づき、同一銘柄を毎回30万円ずつ、合計150万円購入した場合、他の取引等を考慮しなければ、個別元本は(①)円(1万口当たり)となります。
- いずれも1万口当たりの金額である。
 
なお、特定口座(源泉徴収あり)で投資信託を購入し、収益分配金を同口座に受け入れた場合、普通分配金については、所得税、復興特別所得税および住民税の合計で(③)%相当額が源泉徴収等されます。一方、特別分配金(元本払戻金)については、非課税となります」 - 〈パフォーマンス評価〉
「ポートフォリオ運用において、ポートフォリオの収益率とベンチマークの収益率との乖離度合いは、(④)で表されます。(④)は、ポートフォリオの収益率とベンチマークの収益率との差(超過収益率)の標準偏差であり、この数値が大きいほど、ポートフォリオの収益率の変動がベンチマークの収益率の変動から乖離していたことを表します。
リスク調整後収益率を測る指標の1つである(⑤)・レシオは、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除して求めます。一方、インフォメーション・レシオは、ベンチマークの収益率に対するポートフォリオの超過収益率を(④)で除して求めることができ、主にアクティブ運用の成果を測る際に用いられます」 
| ①円 | 
| ②円 | 
| ③% | 
| ④ | 
| ⑤・レシオ | 
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正解
| ① 12,000(円) | 
| ② 11,600(円) | 
| ③ 20.315(%) | 
| ④ トラッキングエラー | 
| ⑤ シャープ(・レシオ) | 
分野
科目:C.金融資産運用細目:3.投資信託
解説
〔①について〕
同一銘柄の投資信託を複数回に分けて購入した場合、個別元本の額は株式と同様に総平均法に準ずる方法、すなわち「購入価額の総額÷購入総数」によって計算します。毎回30万円ずつ購入するので、各回の購入口数は以下のとおりです。
1,500,000円÷125=12,000円
よって、正解は12,000(円)です。
〔②について〕
公募株式投資信託の収益分配金は、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の2つに分けられます。元本払戻金は、その名のとおり個別元本の返還とみなされるため、個別元本の額は支払われた元本払戻金の分だけ低下することになります。収益分配前の個別元本は①で計算した12,000円、特別分配金(元本払戻金)は400円なので、収益分配後の個別元本は、
12,000円-400円=11,600円
よって、正解は11,600(円)です。
〔③について〕
特定口座(源泉徴収あり)で購入した投資信託について普通分配金を受け取る場合、普通分配金の額に対し合計20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)が源泉徴収されます。
よって、正解は20.315(%)となります。
〔④について〕
投資信託のポートフォリオ運用の実際の収益率がベンチマーク(目標としていた指標)に対してどれだけ離れていたか、その大きさを示すのがトラッキングエラーです。
トラッキングエラーの値は、ポートフォリオの収益率とベンチマークの収益率と差の標準偏差であり、値が大きければベンチマークから乖離していたことを示し、逆に値が小さければベンチマークに追従できていたことになります。
また、インフォメーション・レシオは、ベンチマークを上回る収益率(超過収益率)をトラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)で除した値です。この2点から、空欄に当てはまるのはトラッキングエラーとわかります。
よって、正解はトラッキングエラーとなります。
〔⑤について〕
ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除すという説明より、シャープ・レシオ(シャープの測度)と判断できます。
同一銘柄の投資信託を複数回に分けて購入した場合、個別元本の額は株式と同様に総平均法に準ずる方法、すなわち「購入価額の総額÷購入総数」によって計算します。毎回30万円ずつ購入するので、各回の購入口数は以下のとおりです。
- 1回目 300,000円÷9,375円=32万口
 - 2回目 300,000円÷12,000円=25万口
 - 3回目 300,000円÷12,500円=24万口
 - 4回目 300,000円÷15,000円=20万口
 - 5回目 300,000円÷12,500円=24万口
 
1,500,000円÷125=12,000円
よって、正解は12,000(円)です。
〔②について〕
公募株式投資信託の収益分配金は、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の2つに分けられます。元本払戻金は、その名のとおり個別元本の返還とみなされるため、個別元本の額は支払われた元本払戻金の分だけ低下することになります。収益分配前の個別元本は①で計算した12,000円、特別分配金(元本払戻金)は400円なので、収益分配後の個別元本は、
12,000円-400円=11,600円
よって、正解は11,600(円)です。
〔③について〕
特定口座(源泉徴収あり)で購入した投資信託について普通分配金を受け取る場合、普通分配金の額に対し合計20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)が源泉徴収されます。
よって、正解は20.315(%)となります。
〔④について〕
投資信託のポートフォリオ運用の実際の収益率がベンチマーク(目標としていた指標)に対してどれだけ離れていたか、その大きさを示すのがトラッキングエラーです。
トラッキングエラーの値は、ポートフォリオの収益率とベンチマークの収益率と差の標準偏差であり、値が大きければベンチマークから乖離していたことを示し、逆に値が小さければベンチマークに追従できていたことになります。
また、インフォメーション・レシオは、ベンチマークを上回る収益率(超過収益率)をトラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)で除した値です。この2点から、空欄に当てはまるのはトラッキングエラーとわかります。
よって、正解はトラッキングエラーとなります。
〔⑤について〕
ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除すという説明より、シャープ・レシオ(シャープの測度)と判断できます。
- シャープ・レシオ
 - 安全資産利益率を基準に、どれだけ効率的にリスクを取って超過リターンを得ているかを示す
ポートフォリオの収益率-安全資産利益率標準偏差 - インフォメーション・レシオ
 - ベンチマークの収益率を基準に、どれだけ効率的に超過リターンを得ているかを示す。
ポートフォリオの収益率-ベンチマークの収益率トラッキングエラー 
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