FP1級 2025年9月 応用編 問59
 Aさん(45歳)は、2025年8月に22年5カ月勤めた商社を退職し、個人で輸入雑貨小売店を開業した。在職中から開業準備を進めるにあたって、店舗となる建物の近くに引っ越すことにしたAさんは、父から借り受けた土地の上に自宅を新築しており、2025年6月に完成した後、同月中に入居している。なお、建築資金には、自己資金と銀行から借り入れた住宅ローンを充当している。
また、Aさんは、2025年中に父の経営する会社の株式(非上場株式)の配当金を受け取っており、この配当金について総合課税により配当控除の適用を受ける予定である。
Aさんの家族、2025年分の収入等および新築した住宅に関する資料は、以下のとおりである。なお、棚卸資産の評価方法について、納税地の所轄税務署長に税務上の届出はしていない。
〈Aさんとその家族に関する資料〉
〈Aさんの2025年分の収入等に関する資料〉
Ⅰ.事業所得に関する事項
配当金額:70万円(源泉所得税控除前)
給与収入の金額:1,030万円
Ⅳ.退職所得に関する事項
退職手当等の収入金額:1,800万円
勤続期間:22年5カ月
〈Aさんが新築した自宅(家屋)に関する資料〉
また、Aさんは、2025年中に父の経営する会社の株式(非上場株式)の配当金を受け取っており、この配当金について総合課税により配当控除の適用を受ける予定である。
Aさんの家族、2025年分の収入等および新築した住宅に関する資料は、以下のとおりである。なお、棚卸資産の評価方法について、納税地の所轄税務署長に税務上の届出はしていない。
〈Aさんとその家族に関する資料〉
- Aさん(45歳)
 - 白色申告者
 - 妻Bさん(43歳)
 - 会社員。2025年中に給与収入600万円を得ている。
 - 長女Cさん(17歳)
 - 高校生。2025年中の収入はない。
 
〈Aさんの2025年分の収入等に関する資料〉
Ⅰ.事業所得に関する事項

- 上記の必要経費は税務上適正に計上されている。なお、当該必要経費には、売上原価は含まれていない。
 
配当金額:70万円(源泉所得税控除前)
- その支払の際に、所定の所得税および復興特別所得税が源泉徴収されている。
 - 当該非上場株式を取得するための負債の利子はない。
 
給与収入の金額:1,030万円
Ⅳ.退職所得に関する事項
退職手当等の収入金額:1,800万円
勤続期間:22年5カ月
- Aさんは支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している。
 
〈Aさんが新築した自宅(家屋)に関する資料〉
- 新築代金
 - 2,800万円
 - 建物
 - 2階建て木造住宅、総床面積は150㎡(各階75㎡)
 - 資金調達方法
 - 自己資金760万円、住宅ローン2,040万円
 - 住宅ローン
 - 2025年12月末の借入金残高2,000万円、返済期間20年
 - 留意点
 - 当該住宅は、認定長期優良住宅に該当する。また、住宅借入金等特別控除の適用要件は、すべて満たしている。
 
- 妻Bさんおよび長女Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。
 - Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。
 - Aさんとその家族の年齢は、いずれも2025年12月31日現在のものである。
 - 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
 
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問59
前問《問58》を踏まえ、Aさんの2025年分の課税総所得金額に対する所得税および復興特別所得税の申告納税額を計算した下記の表の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。空欄⑥については100円未満を切り捨てること。
なお、Aさんは、扶養控除、配当控除および住宅借入金等特別控除の適用を受けるものとし、計算にあたっては、下記の〈資料〉を用いるものとする。また、記載のない事項については考慮しないものとし、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

なお、Aさんは、扶養控除、配当控除および住宅借入金等特別控除の適用を受けるものとし、計算にあたっては、下記の〈資料〉を用いるものとする。また、記載のない事項については考慮しないものとし、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。


| ①円 | 
| ②円 | 
| ③円 | 
| ④円 | 
| ⑤円 | 
| ⑥円 | 
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正解
| ① 380,000(円) | 
| ② 1,830,000(円) | 
| ③ 60,000(円) | 
| ④ 140,000(円) | 
| ⑤ 34,230(円) | 
| ⑥ 101,200(円) | 
分野
科目:D.タックスプランニング細目:2.所得税の仕組み
解説
〔①について〕
扶養控除の控除額は以下のように区分されています。
Aさんの家族では、16歳以上で収入がない長女Cさん(17歳)が一般扶養親族に該当し、控除額は38万円です。
よって、正解は380,000(円)となります。
〔②について〕
所得金額に対応する所得税額は、総所得金額から所得控除の合計額を引いて課税総所得金額を求め、課税総所得金額を所得税の速算表に当てはめて計算します。
(a)総所得金額は問58で求めた1,270万円、(b)所得控除の合計額は表より250万円なので、課税総所得金額(a-b)は「1,270万円-250万円=1,020万円」となります。課税総所得金額を<資料>所得税の速算表に当てはめると、所得金額に対応する算出所得税額は、
10,200,000円×33%-1,536,000円=1,830,000円
よって、正解は1,830,000(円)です。
〔③について〕
配当控除額は、配当所得以外の所得の金額によって以下のように異なります。
Aさんは課税総所得金額等は1,020万円であり、配当所得70万円のうち50万円が10%控除の部分、残りの20万円が5%控除の部分となります。
以上より、配当控除の控除額は、
50万円×10%+20万円×5%
=5万円+1万円=6万円
よって、正解は60,000(円)となります。
〔④について〕
住宅ローン控除の控除額は、その年の年末時点における住宅ローン残高×0.7%です。新築の認定住宅等に係る借入金限度額は4,500万円(子育て世帯等は5,000万円)なので、Aさんの借入金残高2,000万円の全部が対象となります。
2,000万円×0.7%=140,000円
よって、正解は140,000(円)になります。
〔⑤について〕
(h)復興特別所得税額は(g)差引所得税額に2.1%を乗じて求めます。(g)差引所得税額は、(d)所得金額に対応する所得税額から、(e)(f)の税額控除額を引いた額です。
1,830,000円-60,000円-140,000円=1,630,000円
1,630,000円×2.1%=34,230円
よって、正解は34,230(円)です。
〔⑥について〕
(g)差引所得税額に(h)復興特別所得税を加え、(j)源泉徴収税額を差し引いた額となります。
1,630,000円+34,230円-1,562,940円=101,290円
(100円未満切り捨て)101,200円
よって、正解は101,200(円)です。
扶養控除の控除額は以下のように区分されています。

よって、正解は380,000(円)となります。
〔②について〕
所得金額に対応する所得税額は、総所得金額から所得控除の合計額を引いて課税総所得金額を求め、課税総所得金額を所得税の速算表に当てはめて計算します。
(a)総所得金額は問58で求めた1,270万円、(b)所得控除の合計額は表より250万円なので、課税総所得金額(a-b)は「1,270万円-250万円=1,020万円」となります。課税総所得金額を<資料>所得税の速算表に当てはめると、所得金額に対応する算出所得税額は、
10,200,000円×33%-1,536,000円=1,830,000円
よって、正解は1,830,000(円)です。
〔③について〕
配当控除額は、配当所得以外の所得の金額によって以下のように異なります。


50万円×10%+20万円×5%
=5万円+1万円=6万円
よって、正解は60,000(円)となります。
〔④について〕
住宅ローン控除の控除額は、その年の年末時点における住宅ローン残高×0.7%です。新築の認定住宅等に係る借入金限度額は4,500万円(子育て世帯等は5,000万円)なので、Aさんの借入金残高2,000万円の全部が対象となります。
2,000万円×0.7%=140,000円
よって、正解は140,000(円)になります。
〔⑤について〕
(h)復興特別所得税額は(g)差引所得税額に2.1%を乗じて求めます。(g)差引所得税額は、(d)所得金額に対応する所得税額から、(e)(f)の税額控除額を引いた額です。
1,830,000円-60,000円-140,000円=1,630,000円
1,630,000円×2.1%=34,230円
よって、正解は34,230(円)です。
〔⑥について〕
(g)差引所得税額に(h)復興特別所得税を加え、(j)源泉徴収税額を差し引いた額となります。
1,630,000円+34,230円-1,562,940円=101,290円
(100円未満切り捨て)101,200円
よって、正解は101,200(円)です。
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