FP1級過去問題 2026年1月学科試験 問44

問44

下記の〈条件〉に基づき、長男Bさんが、家庭裁判所の審判や調停を経ることなく、遺産分割前に単独で払戻しを請求することができる預貯金債権の上限額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、長女Cさんは、被相続人の相続開始前に死亡している。また、記載のない事項については考慮しないものとする。

〈条件〉
  1. 被相続人の親族関係図
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  2. 被相続人の相続開始時の預貯金債権の額
    X銀行S支店:普通預金720万円、定期預金480万円
    X銀行T支店:普通預金300万円
    Y銀行U支店:定期預金600万円
    ※定期預金はいずれも満期が到来しているものとする。
  1. 150万円
  2. 250万円
  3. 300万円
  4. 350万円

正解 2

問題難易度
肢18.2%
肢251.0%
肢330.6%
肢410.2%

解説

各相続人は、遺産分割前であっても、被相続人名義の口座から「預貯金の額×1/3×法定相続分」までを、単独で払戻し可能です(民法909条の2)。この仕組みは「預貯金払戻し制度」と呼ばれ、2019年(令和元年)7月の民法改正で新設されたものです。

計算にあたっての注意点は次の2つです。
  • 同一金融機関からの払戻しは150万円が限度
  • 被相続人が複数の金融機関に対して預貯金債権を有している場合には、金融機関ごとに個別に計算し、合算する
長男Bさんの法定相続分は1/2なので、金融機関ごとに預貯金合計に「1/3×1/2=1/6」を乗じて、払戻し可能額を計算します。

【X銀行】
(720万円+480万円+300万円)×1/6=250万円
一金融機関から払戻し可能な上限を超えているため、払戻し可能な金額は上限の150万円となります。

【Y銀行】
600万円×1/6=100万円

したがって、長男Bさんが遺産分割前に単独で払戻しができる金額は「150万円+100万円=250万円」です。したがって[2]が正解です。