FP1級過去問題 2026年1月学科試験 問50

問50

譲渡制限株式を発行している会社が、相続等により当該譲渡制限株式を承継した者に対し、その株式を会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款に定めている場合の会社法上の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 会社が、相続により当該会社の株式を取得した相続人に対し、その株式を売り渡すことを請求する場合、株主総会の特別決議によって売渡しを請求する株式の売買価格を定めなければならない。
  2. 会社が、相続により当該会社の株式を取得した相続人に対し、その株式を売り渡すことを請求する場合、その請求は、当該会社が相続があったことを知った日から1年以内にしなければならない。
  3. 会社が、相続により当該会社の株式を取得した相続人に対し、その株式を売り渡すことを請求する場合、その請求は、その請求に係る株式の数を明らかにしてしなければならない。
  4. 会社が、相続人が相続により取得した当該会社の株式を売渡しの請求に基づいて買い取る場合に、相続人に対して金銭を交付するときは、その総額は、その買取りの効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。

正解 1

問題難易度
肢141.7%
肢220.0%
肢323.5%
肢414.8%

解説

譲渡制限株式とは、株式の譲渡による取得について会社の承認を要することを定款で定めている株式です。株式は自由に譲渡できるのが原則ですが、好ましくない者が株主となることを避けたい場合もあるので、このような制限をすることも認められています(会社法107条1項1号)。

しかし、相続や合併等の一般承継による株式の取得には譲渡制限の効果は及ばないため、好ましくない者に株式が取得される可能性があります。そこで、会社は定款で定めておくことにより、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すよう請求できることになっています(会社法174条)。これが本問の題材となっている「一般承継人に対する売渡し請求」です。
  1. [不適切]。売渡し請求がされた場合の売買価格は、会社と請求を受けた者との協議で決定するのが原則です。したがって、株主総会の特別決議では定めません。これに対し、①請求をする株式数、②請求対象となる株主の氏名の2つは、株主総会の特別決議で定める必要があります(会社法177条1項)。
  2. 適切。譲渡制限株式を取得した相続人等に対する売渡し請求は、相続その他一般承継があったことを知った日から1年以内にしなければなりません(会社法176条1項)。
  3. 適切。譲渡制限株式を取得した相続人等に対して売渡し請求をする場合は、その請求に係る株式の数を明らかにして行う必要があります(会社法176条2項)。売買金額はその後の協議で決まるため、明示するのは「数」だけです。
  4. 適切。会社が株主等に対して行う分配(剰余金の配当、株式の取得、株式の買取り等)において、株主に対して交付する金銭等の総額は、その効力発生日における分配可能額を超えてはなりません(会社法461条)。これは、売渡し請求にも適用されます。
    相続人が相続により承継した株式を会社が買い取る場合、相続人に交付する金銭等の帳簿価額の総額は、株式の買取日における分配可能額を超えてはならない。2023.1-50-4
したがって不適切な記述は[1]です。