FP1級過去問題 2026年1月学科試験 問49

問49

取引相場のない株式の相続税評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 類似業種比準方式において、類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3カ月間の各月の類似業種の株価、類似業種の前年平均株価、課税時期の属する月以前2年間の類似業種の平均株価のうち、最も低いものとすることができる。
  2. 類似業種比準方式において、評価会社の1株当たりの配当金額は、「直前期末以前1年間における評価会社の剰余金の配当金額」と「直前期末以前2年間における評価会社の剰余金の配当金額の合計額の2分の1に相当する金額」のうち、いずれか低いものを直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とすることができる。
  3. 純資産価額方式において、1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上、評価会社が所有する課税時期前3年以内に取得した土地の価額は、原則として、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。
  4. 純資産価額方式において、1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上、退職給与引当金は負債に計上することができないが、被相続人の死亡により相続人に支給することが確定した退職手当金の額は負債に計上することができる。

正解 2

問題難易度
肢112.5%
肢250.9%
肢315.8%
肢420.8%

解説

  1. 適切。類似業種の株価は、①課税時期の月、②課税時期の前月、③課税時期の前々月の3月の平均株価のうち最も低いものを使用するのが原則で、納税者の選択により、④課税時期の前年または⑤課税時期の月以前2年間の平均株価を使うこともできます(財評通182)。①~③の最も低い額よりも、④⑤のほうが低ければそれを選択できるため、①~⑤のうち最も低いものとすることができます。
    類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3カ月間の各月の類似業種の株価、類似業種の前年平均株価、課税時期の属する月以前2年間の類似業種の平均株価のうち、最も低いものとすることができる。2019.5-47-1
    類似業種比準価額の計算上、類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3カ月間の各月の類似業種の株価および課税時期の属する月以前1年間または2年間の類似業種の平均株価の5つのなかから、納税義務者が選択することができる。2018.9-48-2
  2. [不適切]。直前1期の配当金額は使えません。類似業種比準方式における1株当たりの配当金額は、「直前2期の平均額」を1株当たり資本金等の額を50円としたときの発行済株式数で除して求めます。算定に当たり、特別配当、記念配当などの毎期継続しない配当の金額は除外します(財評通183)。
    【補足】「直前1期」と「直前2期の平均額」の低いほうを採用できるのは、1株当たりの利益金額の算定です。
  3. 適切。純資産価額の計算上、課税時期の3年以内に法人が取得した家屋や土地の評価は、相続税評価額ではなく課税時期における通常の取引価額で行います。不動産は現金よりも低く評価されることを利用して、評価時期直前に資産を不動産に移して不当に評価額を下げる行為を防止するためです(財評通185)。
    純資産価額方式において、評価会社が課税時期前3年以内に取得した土地の価額は、原則として、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。2024.1-48-1
    1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上、評価会社が所有する課税時期前3年以内に取得した土地の相続税評価額は、原則として、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。2023.9-49-3
    純資産価額方式において、評価会社が課税時期前3年以内に取得した家屋がある場合、純資産価額(相続税評価額)の計算上、当該家屋の相続税評価額は、原則として、取得価額によって評価する。2021.5-49-3
    評価会社が所有する土地のうち、課税時期前3年以内に取得した土地がある場合、その株式の純資産価額(相続税評価額)の計算上、当該土地の相続税評価額は、原則として、課税時期における通常の取引価額に相当する金額によって評価する。2018.9-48-4
    純資産価額を計算する場合において、評価会社が有する資産のなかに課税時期前5年以内に取得した土地等や家屋等があるときは、その土地等や家屋等の価額は課税時期における通常の取引価額に相当する金額により評価する。2016.1-48-2
  4. 適切。純資産価額の計算上、被相続人の死亡により支給が確定した退職手当金や功労金、支払いが決まっている税金は、帳簿に記載されていなくても負債額に含めることができます。一方で、貸倒引当金・退職給与引当金など会計上の引当金や準備金に相当する金額は負債に含めません(財評通186)。
    1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算上、評価会社の株式を所有する役員が死亡し、その相続人に支給した弔慰金で、みなし相続財産とならないものは、負債として計上することはできない。2023.9-49-2
したがって不適切な記述は[2]です。