FP1級 2026年5月学科試験 問29

問29

居住者に係る所得税の青色申告に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 青色申告者が、不動産所得を生ずべき業務と事業所得を生ずべき業務を営む場合、貸借対照表はそれぞれの業務に係るものの区分ごとに各別に作成し、損益計算書は2つの業務に係るものを合併して作成する。
  2. 青色申告者が、青色申告書を提出する年分に生じた純損失の金額を前年に繰り戻し、前年分の所得に対する所得税額の還付を受けるためには、前年分の所得税について青色申告書を提出している必要がある。
  3. 事業所得の金額の計算上、売上原価の計算における棚卸資産の評価方法として低価法を選定することができるのは、青色申告者に限られる。
  4. 青色申告者が行う不動産の貸付が事業的規模に満たない場合、その業務に従事する配偶者に支払う給与の額は、労務の対価として適正な額であっても、不動産所得の金額の計算上、青色事業専従者給与として必要経費に算入することができない。

正解 1

問題難易度
肢156.6%
肢214.5%
肢310.6%
肢418.3%

解説

  1. [不適切]。青色申告者が複数の事業をしている場合の決算書は、損益計算書はそれぞれの業務に係るものの区分ごとに各別に作成し、貸借対照表は全ての業務に係るものを合併して作成しなければなりません。損益計算書は別々、貸借対照表は合同です
    青色申告者が不動産所得を生ずべき業務と事業所得を生ずべき業務のいずれも営む場合、貸借対照表はそれぞれの業務に係るものの区分ごとに各別に作成し、損益計算書は2つの業務に係るものを合併して作成することとされている。2021.1-28-3
    青色申告者が不動産所得を生ずべき業務と事業所得を生ずべき業務のいずれも営む場合、損益計算書はそれぞれの業務に係るものの区分ごとに各別に作成し、貸借対照表は2つの業務に係るものを合併して作成することとされている。2018.9-29-2
    青色申告者が不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務のうち2以上の業務を営む場合、損益計算書および貸借対照表はそれぞれの業務に係るものの区分ごとに各別に作成することとされている。2016.9-30-3
  2. 適切。青色申告者には、純損失の金額を前年に繰り戻して前年分の所得税額の還付を受ける「純損失の繰戻し還付」という特典があります。繰戻し還付を受けるためには、前年分の確定申告においても青色申告書を提出していることが必要です。なお、「純損失の繰越控除」では翌年以降も青色申告であることを要しません。
    青色申告者が、青色申告書を提出する年分に生じた純損失の金額を前年に繰り戻し、前年分の所得に対する所得税額の還付を受けるためには、その年の前年分の所得税について青色申告書を提出していることが要件となる。2019.5-28-3
    青色申告の適用を初めて受ける年分に純損失の金額が生じた場合、青色申告者は、青色申告書と還付請求書を申告期限までに提出することにより、純損失の金額を前年に繰り戻し、前年分の所得に対する所得税額の還付を受けることができる。2018.9-29-4
  3. 適切。白色申告(青色申告以外)では、原則的評価方法である最終仕入原価法に加え、あらかじめ税務署に届け出ることにより5種類の原価法(個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法)を選ぶことができます。青色申告者は上記に加えて「低価法」の選択が可能です。
    【補足】低価法は、原価法で算定した在庫の取得価額と年末時点での時価を比較して、いずれか安い方を棚卸資産評価額とする方法です。
    事業所得の金額の計算上、売上原価に計上する棚卸資産の期末評価額の評価方法として低価法を選定することができるのは、青色申告者に限られる。2019.5-28-2
  4. 適切。青色事業専従者給与を必要経費とするためには、専ら不動産所得・事業所得・山林所得を生ずべき事業に従事するものに支払われた給与であることが要件です。したがって、不動産の貸付が事業的規模に満たない場合、青色事業専従者給与の必要経費への算入は認められません。
したがって不適切な記述は[1]です。