FP1級 2026年5月学科試験 問31

問31

法人税における減価償却資産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人はいずれも製造業を営む内国法人(普通法人)であるものとし、取得した減価償却資産は貸付の用に供するものではないものとする。また、当期とは2025年4月1日から2026年3月31日までの事業年度であるものとする。
  1. 当期に取得した特許権や商標権の減価償却費の計算にあたっては、その取得の日から事業の用に供したものとして取り扱う。
  2. 当期に新築した本社建物に係る不動産取得税および登録免許税を支払った場合、その税額は、当該建物の取得価額に算入せず、租税公課として損金の額に算入することができる。
  3. 当期に取得価額が10万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、その使用可能期間の長短にかかわらず、当期において取得価額の全額を損金の額に算入することができる。
  4. 前期に取得した減価償却資産について一括償却(3年均等償却)を選択したが、当期において火災により当該資産が滅失した場合、当期において当該資産の未償却残高の全額を損金の額に算入することができる。

正解 4

問題難易度
肢112.2%
肢221.4%
肢312.6%
肢453.8%

解説

  1. 適切。特許権・実用新案権・意匠権・商標権は無形固定資産のうち「工業所有権」に該当します。工業所有権は、その取得の日を事業の用に供した日として減価償却を行います(法基通7-1-6)。
  2. 適切。固定資産の取得価額には購入代金のほか、引取運賃や購入手数料などの付随費用を含めるのが原則です。しかし、不動産取得税や登録免許税、自動車税などの租税公課は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入せずに、損金処理することができます(法基通7-3-3の2)。これは、資産を使用可能な状態にするために直接要した費用というよりも、法的な手続きに伴い事後的に発生する税金と捉えられるためです。
  3. 適切。取得価額10万円未満または使用可能期間1年未満の少額減価償却資産は、主要な事業以外の貸付けに供されたものを除き、その取得価額の全額を当該事業年度の損金として算入することができます(法人税法令133条)。取得価額が10万円未満であれば、使用可能期間を問わず全額を損金算入できます。
    当期に取得価額が10万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、その使用可能期間の長短にかかわらず、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2024.9-30-1
    当期に使用可能期間が1年以上である取得価額8万円の減価償却資産を取得して貸付の用に供した場合、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2022.9-32-1
    当期に取得価額が10万円未満の減価償却資産を取得して事業(貸付けを除く)の用に供した場合、その使用可能期間の長短にかかわらず、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2021.1-30-2
    当期に取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、青色申告法人ではない法人であっても、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。2019.5-31-2
    使用可能期間が1年未満である減価償却資産を取得し、事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する額を損金経理した場合には、当該事業年度において取得価額の全額を損金の額に算入することができる。2015.9-30-1
  4. [不適切]。一括償却は、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産について選択できる償却方法で、3年間で取得価額の3分の1の額を均等に償却します(法人税法令133条の2)。一括償却資産に滅失・除却等が生じても、未償却残高すべてをその期の損金に算入することはできません。あくまでも各年3分の1までの額が上限となります(法基通7-1-13)。
    前期に取得した減価償却資産について一括償却(3年均等償却)を選択したが、当期において火災により当該資産が焼失した場合、当期において当該資産の未償却残高の全額を損金の額に算入することができる。2024.5-29-2
したがって不適切な記述は[4]です。