不動産の取引(全44問中15問目)

No.15

借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。
2021年5月試験 問36
  1. 普通借家契約において、賃貸人は、賃貸人および賃借人が建物の使用を必要とする事情や建物の利用状況などを考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、賃借人に対し、建物の賃貸借の解約の申入れをすることはできない。
  2. 期間の定めがある普通借家契約において、賃貸人が賃借人に対して期間満了の1年前から6カ月前までの間に更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同じ期間で契約を更新したものとみなされる。
  3. 定期借家契約を締結する場合、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
  4. 定期借家契約において、自己の居住の用に供する床面積200㎡未満の建物を賃借している賃借人が、転勤や親族の介護等のやむを得ない事情により当該建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となった場合、賃借人は、当該建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。

正解 2

問題難易度
肢123.5%
肢247.0%
肢316.7%
肢412.8%

解説

  1. 適切。普通借家契約では、賃貸人が解約申入れをしたり更新拒絶をしたりするには「正当の事由」が必要となります。なお、正当事由は下記5つであり、すべてを総合考慮して判断します(借地借家法28条)。
    • 貸主および借主が建物の使用を必要とする事情
    • 建物の賃貸借に関する従前の経過
    • 建物の利用状況
    • 建物の現況
    • 立退料の提供の申し出
  2. [不適切]。期間の定めのある普通借家契約では、期間満了の1年前から6カ月前までに相手方に更新しない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一条件の期間の定めのない契約を更新したものとみなします(借地借家法27条1項)。従前の契約と「同じ期間」となるわけではないので本肢は誤りです。
    ※貸主からの更新拒絶には正当事由が必要です。
  3. 適切。定期借家契約をしようとするときは、貸主は、あらかじめ借主に対し、契約の更新がなく期間満了により終了する旨を記載した書面を交付して、説明しなければなりません。この説明及び交付がない場合、契約の更新がない定めは無効となり、普通借家契約と同様に貸主側からの解約の申入れには正当事由が必要となります(借地借家法38条3項)。
  4. 適切。床面積200㎡未満かつ「転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情」の場合には、定期借家契約の中途解約が認められています。「廃業による使用継続困難」は中途解約事由になりませんので注意しましょう(借地借家法38条7項)。
したがって不適切な記述は[2]です。