相続と法律(全46問中1問目)

No.1

成年後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2024年1月試験 問43
  1. 後見等開始の審判の請求を本人以外の者が行う場合、後見および保佐については本人の同意は不要であるが、補助については本人の同意が必要である。
  2. 成年後見人は、成年被後見人が自ら行ったすべての法律行為について、取り消すことができる。
  3. 被保佐人は、保佐人の同意またはこれに代わる許可を得ないで自ら行った不動産の売買について、取り消すことができる。
  4. 家庭裁判所は、補助人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。

正解 2

問題難易度
肢111.4%
肢270.5%
肢311.0%
肢47.1%

解説

  1. 適切。本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意が必要です。補助開始の審判を受けるのは事理弁識能力が不十分な者とされており、一定程度の判断能力があるため、本人の意思を尊重する趣旨があります(民法17条2項)。なお、後見・保佐については本人の同意は不要です。
    本人以外の者が後見等の開始の申立てを行う場合、後見および保佐については本人の同意は不要であるが、補助については本人の同意が必要である。2016.9-44-1
    法定後見制度において、本人以外の者が後見等の開始の申立てをするためには、後見については本人の同意を必要としないが、保佐および補助については本人の同意を必要とする。2015.10-44-2
  2. [不適切]。すべての法律行為ではありません。成年被後見人が自ら行った法律行為は、本人または成年後見人が取り消すことができます。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為や、成年被後見人が詐術を用いた場合については取消しの対象外とされています(民法9条、民法21条)。
    任意後見人は、任意後見契約に定めた事項に関する被後見人の法律行為について、代理権および取消権を有する。2021.5-44-4
    成年後見人は、成年被後見人が自ら行った法律行為について、日用品の購入その他日常生活に関する行為等を除き、取り消すことができる。2018.1-44-2
    成年後見人は、成年被後見人が自ら行った法律行為について、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消すことができる。2015.9-45-1
  3. 適切。被保佐人は、財産上の重要な行為をするときに保佐人の同意を得る必要があります。不動産の権利の売買は同意を要する行為に当たるので、同意や家庭裁判所の許可を得ないで行った場合には、本人または保佐人は取り消すことができます(民法13条1項)。
  4. 適切。家庭裁判所は、補助人または補助監督人の請求に基づき、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができます(民法876条の9)。この審判は同意権付与の審判と同時にすることができます。保佐についても同様の仕組みがあります。
したがって不適切な記述は[2]です。