FP1級過去問題 2015年9月学科試験 問46

問46

相続の放棄に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 推定相続人が相続の放棄を相続開始前に行うためには、その旨を申し立て、家庭裁判所の許可を受ける必要がある。
  2. 相続の放棄の効力がいったん生じた場合であっても、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内であれば、その放棄を撤回することができる。
  3. 相続人が相続の放棄をした場合、その者に子があるときは、その子が相続の放棄をした者に代わって相続人となり、その者に子がないときは、相続の放棄をした者が受けるべきであった法定相続分はその者以外の相続人に均等に分配される。
  4. 契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人となっている者が相続の放棄をした場合、その者が受け取る当該保険金については、相続税額の計算上、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されない。

正解 4

問題難易度
肢112.8%
肢25.5%
肢36.4%
肢475.3%

解説

  1. 不適切。相続の放棄は、相続開始があったことを知った時から3カ月以内に行う必要があります。相続開始前に相続を放棄することは認められていません(民法915条)。
  2. 不適切。一度した相続の承認や放棄は、相続開始から3カ月以内であっても撤回することができません。ただし、詐欺、錯誤および強迫などの意思の不存在があった場合や、後見等の規定により取り消すことは可能です(民法919条1項)。
  3. 不適切。相続の放棄があった場合、その子への代襲相続はありません。代襲相続が生じるのは死亡・欠格・廃除のいずれかの原因で相続権がないときです(民法887条)。
  4. [適切]。死亡保険金の非課税金額の規定は、相続人が死亡保険金を取得した場合に適用されます。このため、相続を放棄した者には本規定の適用はありません。相続を放棄した者が受け取った死亡保険金は、本規定の適用上なかったものとされます(相基通12-8)。
    共同相続人のなかに被相続人を契約者(=保険料負担者)および被保険者とする生命保険の死亡保険金を受け取った者がいる場合、その死亡保険金は、原則として、特別受益に該当する。2024.9-44-4
    契約者(=保険料負担者)および保険金受取人を相続人、被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金を受け取った場合、その金額の多寡や使途にかかわらず、当該相続人は相続について単純承認したものとみなされる。2024.5-44-1
    共同相続人のなかに被相続人を被保険者とする生命保険の死亡保険金受取人がいる場合、原則として、当該死亡保険金は特別受益に該当する。2023.5-46-2
    相続人が、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人、保険金受取人を当該相続人とする生命保険契約の死亡保険金を受け取った場合、その金額の多寡や使途にかかわらず、当該相続人は相続について単純承認したものとみなされる。2020.9-44-1
したがって適切な記述は[4]です。