相続と法律(全50問中2問目)

No.2

配偶者居住権および配偶者短期居住権に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2024年5月試験 問45
  1. 被相続人が相続開始時に居住建物を子と共有していた場合、被相続人の配偶者は被相続人が所有していた共有持分に応ずる配偶者居住権を取得することができる。
  2. 配偶者居住権を取得した配偶者が死亡した場合、配偶者居住権は当該配偶者の相続財産として遺産分割の対象となる。
  3. 配偶者短期居住権を取得することができる配偶者は、相続開始時において、被相続人が所有していた建物に無償で居住し、かつ、被相続人との婚姻期間が20年以上である者とされている。
  4. 配偶者短期居住権の対象となる建物の所有権を遺贈により取得した第三者が、配偶者短期居住権を消滅させるよう配偶者に対して申し入れた場合、配偶者短期居住権の存続期間は、申入れの日から6カ月を経過する日までとなる。

正解 4

問題難易度
肢122.7%
肢25.3%
肢313.0%
肢459.0%

解説

  1. 不適切。居住建物に被相続人やその配偶者以外の共有者が存在する場合には、配偶者居住権は成立しません。これは共有者が子であった場合でも同様です。被相続人の一方的な意思表示等により、他の共有者に無償の居住を受忍させるのは酷であるためです(民法1028条)。
    被相続人が相続開始時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合、配偶者は被相続人が所有していた共有持分に応ずる配偶者居住権を取得することができる。2022.9-44-1
  2. 不適切。配偶者居住権は一身専属的な権利なので、譲渡することができません(民法1032条2項)。配偶者の死亡により存続期間が終了するので、相続の対象とはなりません(民法1030条)。
    配偶者居住権は、他者に譲渡することはできず、取得した配偶者が死亡した場合には、当然に消滅して相続の対象とならない。2020.9-50-2
  3. 不適切。配偶者短期居住権は、被相続人の所有する建物に無償で居住していた配偶者であれば婚姻期間に関係なく取得できます(民法1037条1項)。
    配偶者短期居住権を取得することができる配偶者は、相続開始時において、被相続人が所有していた建物に無償で居住し、かつ、被相続人との婚姻期間が20年以上である者とされている。2020.9-50-3
    被相続人の配偶者は、相続開始時に被相続人が所有する建物に無償で居住していた場合は、原則として、相続開始時から最低6カ月間、引き続き無償でその建物を使用することができる権利を取得する。2019.5-50-1
  4. [適切]。短期配偶者居住権の目的となっている建物の所有者は、当該建物が遺産分割協議の対象となっている場合を除き、いつでも配偶者短期居住権の消滅を申し入れることができます。消滅の申入れがあった場合、配偶者短期居住権の存続期間は、申入れの日から6か月を経過する日までとなります(民法1037条1項)。
したがって適切な記述は[4]です。