事業承継対策(全17問中13問目)

No.13

経過措置型医療法人(社団たる医療法人で持分の定めのあるもの)の出資の評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2016年9月試験 問48
  1. 会社規模の判定は「小売・サービス業」の基準により行い、類似業種比準価額を計算する場合の「評価会社の事業が該当する業種目」は「その他の産業」となる。
  2. 類似業種比準価額の計算上、比準要素は「1口当たりの利益金額」と「1口当たりの簿価純資産価額」の2つであり、比準割合を算出する際の分母は「2」となる。
  3. 純資産価額の計算上、出資持分の取得者とその同族関係者の有する議決権の合計数が議決権総数の50%以下である場合、1口当たりの純資産価額(相続税評価額)に80%を乗じて計算される。
  4. 医療法人は、医療法の規定により剰余金の配当が禁止されているため、出資持分の取得者にかかわらず、出資の評価にあたって配当還元方式は適用されない。

正解 3

問題難易度
肢19.8%
肢242.1%
肢327.5%
肢420.6%

解説

  1. 適切。経過措置型医療法人とは、平成19年4月1日以前に設立された医療法人又はそれ以前に設立認可申請をし、平成19年4月1日以後に設立認可を受けた法人で持分の定めのある医療法人のことをいいます。
    医療法人の規模の判定については、医療法人そのものはあくまで「サービス業」の一種と考えられることから、「小売・サービス業」の基準になり、従業員が70人以上の場合はすべて大会社に該当し、70人未満の場合は取引金額および総資産と従業員をもとに規模判定表の区分により行います。そして、類似業種比準方式により評価するとした場合、類似する業種目が見当たらないことから、業種目を「その他の産業」として評価することになります。
  2. 適切。医療法人に対する出資持分の価額は、取引相場のない株式の評価方法に準じて行います。経過措置型医療法人の類似業種比準価額の計算式では、比準要素は「1口当たりの利益金額・簿価純資産価額」の2つで、医療法人には配当がないので、分子は利益1+純資産1、分母は「2」になります。
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    2017年(平成29年)の類似業種比準価額方式の評価式改正により2になりました。平成12年以降平成29年までは、利益が3、純資産1で、分母が4でした。
  3. [不適切]。一般の会社では、取引相場のない株式の評価の原則の算式及び1株当たりの純資産価額については、株式の取得者とその同族関係者の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50%以下である場合においては、1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)に100分の80を乗じて計算した金額としますが、医療法人では、議決権が平等で、株式会社のように出資比率と議決権比率が結びついていないので、純資産価額の計算上では、出資割合に応じた持分の評価減はありません。
  4. 適切。医療法では、営利を目的として病院等を開設しようとする者に対しては、開設の許可を与えないことができることとしているほか、医療法人は剰余金の配当をしてはならないことを規定しています。配当がないので、出資持分の取得者にかかわらず、出資の評価にあたって配当還元方式は適用されません。
したがって不適切な記述は[3]です。