FP1級過去問題 2014年1月学科試験 問24

問24

デリバティブの活用の提案に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. ドル建てで決済する輸出業者に対して、円高に対するヘッジとして、為替予約によるドル買い/円売りを提案した。
  2. ユーロ建てで決済する輸入業者に対して、円安に対するヘッジとして、ユーロ・プット/円・コールというヨーロピアン型のオプションの購入を提案した。
  3. 円LIBORに連動する条件での変動金利借入れをしている企業に対して、短期金利上昇に対するヘッジとして、円LIBORを対象とするキャップの購入を提案した。
  4. 多数の上場株式の銘柄を保有している投資家に対して、株価の全般的な下落に対するヘッジとして、TOPIX先物の買建てを提案した。

正解 3

問題難易度
肢120.3%
肢215.1%
肢358.4%
肢46.2%

解説

  1. 不適切。輸出業者でドル(外貨)で売上がある場合、円高になると円換算での売上高が下がります。このときドル売り/円買いの予約しておけば、受け取ったドルを決まった価格で円に換えることができるため、円高に対するヘッジとなります。ドル買い/円売りではヘッジ効果は見込めません。
    ※同じ100ドルの売上でも、1ドル100円のときは10,000円の売上、1ドル90円のときは9,000円の売上というイメージです。
    米ドル建てで決済する輸出業者に対して、円高に対するヘッジとして、米ドル買い/円売りの為替予約を提案した。2021.5-22-2
  2. 不適切。輸入業者でユーロ(外貨)で支払いをする場合、円安になると円換算での支払金額が上がります。円安になった不利なときにユーロを買って/円を売っても損失が大きくなるだけでヘッジにはなりません。円安に対するヘッジとしては、円を決まった価格でユーロに交換できる「ユーロ・コール/円・プット」を提案するのが適切です。
    ※同じ100ユーロの支払いでも、1ユーロ100円のときは10,000円の支払い、1ユーロ110円のときは11,000円の支払いというイメージです。
    米ドル建てで決済する輸入業者に対して、円安に対するヘッジとして、米ドル・コール/円・プットのオプションの購入を提案した。2021.5-22-3
  3. [適切]。キャップは、金利の上限を超えた分を売り手が買い手に支払うオプション取引です。売り手にオプション料を支払う必要はありますが、借入金利が急上昇することに対するヘッジとなります。
    TIBORに連動する変動金利の借入れをしている企業に対して、短期金利の上昇に対するヘッジとして、TIBORを対象とするフロアの購入を提案した。2021.5-22-4
  4. 不適切。大量保有する株価の下落を予想する場面では、先物の売建てを提案するのが適切です。先物の売建ては、将来のあらかじめ定められた期日に特定の承認を特定の価格で売る契約です。もし相場が下落した場合でも、売建て価格で売って、下落した価格で買い戻すことで利益が生まれるので相場全体の下落に対するヘッジとなります。
    多くの銘柄の国内上場株式を保有している個人投資家が、国内株式市場における全体的な株価の下落をヘッジするために、TOPIX先物の買建てを行った。2023.1-21-2
    多くの銘柄の国内上場株式を保有している投資家に対して、国内株式市場における全体的な株価の下落に対するヘッジとして、TOPIX先物の買建てを提案した。2021.5-22-1
したがって適切な記述は[3]です。