FP1級過去問題 2015年9月学科試験 問3

問3

労働者災害補償保険の保険給付および特別支給金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 労働者が業務上の負傷または疾病により、労災指定病院で療養補償給付として受ける療養の給付については、労働者の一部負担金はない。
  2. 労働者が業務上の負傷または疾病による療養のために欠勤し、賃金を受けられない場合は、休業4日目から1日につき、休業補償給付として休業給付基礎日額の60%相当額が支給され、さらに休業特別支給金として休業給付基礎日額の20%相当額が支給される。
  3. 業務上の負傷または疾病によって療養している労働者について、当該負傷または疾病が療養の開始後1年6カ月を経過しても治らず、一定の傷病等級に該当した場合は、休業補償給付に加えて傷病等級に応じた傷病補償年金が支給される。
  4. 労働者が業務上の災害によって死亡し、その労働者の収入によって生計を維持していた遺族に遺族補償年金が支給される場合は、遺族特別年金および300万円の遺族特別支給金も支給される。

正解 3

問題難易度
肢18.2%
肢219.9%
肢353.3%
肢418.6%

解説

  1. 適切。業務上の災害により療養補償給付として受ける療養の給付については自己負担金はありません。一方、通勤災害のにより療養給付として受ける療養の給付については原則として200円の自己負担金があります(労働保険法31条3項)。
    ※自己負担金は休業給付から差し引かれたりするので実際に窓口で支払うことは多くありません。
  2. 適切。労働者が業務上の負傷や疾病の療養のために休業し、かつ、賃金を受けられないときには、休業4日目から給付基礎日額の60%相当額の休業補償給付、給付基礎日額の20%相当額の休業特別支給金が労災保険から支給されます(労災保険法14条、特別支給金支給規則3条)。
    労働者が業務上の傷病による療養のために欠勤し、賃金を受けられない場合、休業4日目から1日につき、休業補償給付として休業給付基礎日額の60%相当額が支給され、休業特別支給金として休業給付基礎日額の20%相当額が支給される。2023.5-3-1
    労働者が業務上の負傷または疾病による療養のために欠勤し、賃金を受けられない場合、休業4日目から休業補償給付が支給されるが、休業3日目までは、事業主が労働基準法の規定に基づき、その労働者の平均賃金の60%の休業補償を行わなければならない。2022.5-3-3
    労働者が業務上の負傷または疾病による療養のために休業し、賃金を受けられない場合は、休業4日目から1年6カ月を限度として、休業補償給付および休業特別支給金が支給される。2019.5-2-1
  3. [不適切]。傷病補償年金は、業務上の負傷や疾病によって療養している労働者が療養の開始後1年6カ月を経過しても治らない場合で、傷病等級第1級から第3級に該当するときに支給されます(労災保険法12条3項)。このときまで支給されていた休業補償給付は支給打ち切りとなり、その後支給されません(労災保険法18条2項)。(労災保険法18条2項)。
    休業補償給付の支給を受けている労働者について、療養の開始後1年6カ月を経過しても当該傷病が治らず、その傷病の程度が傷病等級1級から3級に該当する場合は、休業補償給付の支給に代えて傷病補償年金が支給されるが、傷病等級1級から3級に該当しない場合は、引き続き休業補償給付が支給される。2023.5-3-2
    休業補償給付の支給を受けている労働者が、療養開始後1年6カ月を経過した日において傷病が治っておらず、当該傷病による障害の程度が一定の傷病等級に該当して傷病補償年金が支給される場合は、休業補償給付の支給が打ち切られる。2018.1-2-3
  4. 適切。遺族補償年金が支給される遺族には、併せて遺族の人数に応じて支給される遺族特別年金、定額300万円(対象者が複数人いる場合は按分して支給)の遺族特別支給金も支給されます(特別支給金支給規則9条、同5条)。
したがって不適切な記述は[3]です。