FP1級過去問題 2019年5月学科試験 問2

問2

労働者災害補償保険の保険給付および特別支給金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 労働者が業務上の負傷または疾病による療養のために休業し、賃金を受けられない場合は、休業4日目から1年6カ月を限度として、休業補償給付および休業特別支給金が支給される。
  2. 業務上の負傷または疾病によって療養している労働者について、当該傷病が療養の開始後1年を経過した日において治っておらず、当該傷病による障害の程度が所定の傷病等級に該当する場合は、傷病等級に応じた傷病補償年金が支給される。
  3. 遺族補償年金を受けることができる受給資格者は、所定の要件を満たす配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹であり、すべての受給資格者が資格を喪失するまで遺族補償年金は転給が行われる。
  4. 遺族特別支給金は、業務上の事由または通勤により労働者が死亡した場合に、所定の要件を満たす労働者の遺族に対して支給され、その額は、遺族1人当たり100万円である。

正解 3

問題難易度
肢124.8%
肢210.9%
肢359.5%
肢44.8%

解説

  1. 不適切。労働者が業務上の負傷や疾病の療養のために休業し、かつ、賃金を受けられないときには、休業4日目から給付基礎日額の60%相当額の休業補償給付、給付基礎日額の20%相当額の休業特別支給金が労災保険から支給されます(労災保険法14条、特別支給金支給規則3条)。療養開始から1年6カ月が経過した時点で治っておらず傷病等級第1級から第3級に該当する場合は傷病補償年金に切り替わりますが、治っていないのに傷病等級が付かない場合には、1年6カ月経過後も休業補償給付が継続して支給になります。
    休業補償給付は、①業務上の事由又は通勤による負傷や疾病による療養のため、②労働することができないため、③賃金をうけていないという要件を満たす限り支給が続き、限度日数がないので本肢は誤りです。
    労働者が業務上の傷病による療養のために欠勤し、賃金を受けられない場合、休業4日目から1日につき、休業補償給付として休業給付基礎日額の60%相当額が支給され、休業特別支給金として休業給付基礎日額の20%相当額が支給される。2023.5-3-1
    労働者が業務上の負傷または疾病による療養のために欠勤し、賃金を受けられない場合、休業4日目から休業補償給付が支給されるが、休業3日目までは、事業主が労働基準法の規定に基づき、その労働者の平均賃金の60%の休業補償を行わなければならない。2022.5-3-3
    労働者が業務上の負傷または疾病による療養のために欠勤し、賃金を受けられない場合は、休業4日目から1日につき、休業補償給付として休業給付基礎日額の60%相当額が支給され、さらに休業特別支給金として休業給付基礎日額の20%相当額が支給される。2015.9-3-2
  2. 不適切。傷病補償年金は、業務上の負傷や疾病によって療養している労働者が療養の開始後1年6カ月を経過しても治らない場合で、傷病等級第1級から第3級に該当するときに支給されます(労災保険法12条3項)。このときまで支給されていた休業補償給付はその後支給されません(労災保険法18条2項)。
    本肢は「1年を経過した日において」としているので誤りです。
    療養開始後1年6カ月を経過した日以後において、傷病が治癒せず、当該傷病による障害の程度が所定の傷病等級の第1級から第3級に該当する場合には、傷病補償年金の支給に代えて、休業補償給付が支給される。2022.1-3-1
  3. [適切]。遺族補償年金の受給資格者は、被災労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた所定の要件を満たす「配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹」で、最先順位の者に支給されます(労災保険法16条の2)。最先順位の受給権者が死亡するなどで受給資格を喪失した場合、遺族補償年金は次の順位の受給権者に転給されます(労災保険法16条の3)。
  4. 不適切。遺族特別支給金は、業務災害や通勤災害による遺族補償給付の受給権者に対して、一時金として300万円が支給されます。対象者が複数人いる場合は按分して支給になります(特別支給金支給規則5条)。
したがって適切な記述は[3]です。