FP1級過去問題 2017年9月学科試験 問29

問29

「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 本特例の対象となる特定一般用医薬品等購入費とは、要指導医薬品および一般用医薬品のうち、医療用から転用された一定の医薬品の購入費であり、健康診断や予防接種などの健康の保持増進および疾病の予防への取組みに要する費用は含まれない。
  2. 自己と生計を一にする配偶者に係る特定一般用医薬品等購入費を支払った納税者が本特例の適用を受ける場合、当該配偶者がその年中に健康の保持増進および疾病の予防への取組みとして一定の取組みを行ったことを明らかにする書類を確定申告書に添付する必要がある。
  3. 本特例による控除額は、その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)の合計額から1万2,000円を差し引いた金額であり、8万8,000円が上限となる。
  4. 本特例の適用を受ける納税者は、その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費以外の医療費の額が10万円を超える場合であっても、本特例を適用しない医療費控除の適用を受けることはできない。

正解 2

問題難易度
肢115.6%
肢259.0%
肢39.0%
肢416.4%

解説

  1. 適切。特定一般用医薬品等とは、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品と呼ばれます)のことです。スイッチOTC医薬品の購入費は含まれますが、健康診断や予防接種などの健康の保持増進・疾病予防の費用は対象外になります。
  2. [不適切]。本特例の適用を受けるには、健康診断や予防接種といった健康の保持増進・疾病予防として一定の取組みを行っていることが必要ですが、確定申告書には購入額や一定の取組みに関する事項などの定められた事項を記載した明細書を添付すれば足り、一定の取組みを明らかにする書類(検診や健康診断の結果通知表や領収書など)を添付する必要はありません(2021年分より)。同一生計の配偶者のための医薬品購入費であっても、納税者本人の取組みを明細書に記載するだけで適用を受けることができます。
  3. 適切。セルフメディケーション税制による医療費控除額は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除く。)から12,000円を差し引いた金額(最高88,000円)です。
    「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」による控除額は、納税者がその年中に支払った特定一般用医薬品等購入費(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)の合計額であり、8万8,000円が上限となる。2019.1-28-1
  4. 適切。通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。よって、セルフメディケーション税制を選択した納税者は、その年に支払った医療費の多寡にかかわらず通常の医療費控除の適用を受けることはできません。
したがって不適切な記述は[2]です。