FP1級過去問題 2017年9月学科試験 問28(改題)

問28

居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
  1. 個人事業主である納税者が、所有する事業用固定資産について災害、盗難または横領によって一定額以上の損害を受けた場合、確定申告をすることにより、納税者は雑損控除の適用を受けることができる。
  2. 納税者の配偶者で国民年金の第3号被保険者である者が確定拠出年金の個人型年金に加入し、当該配偶者が拠出すべき掛金を納税者が支払った場合、納税者は支払った掛金について小規模企業共済等掛金控除の適用を受けることができる。
  3. 納税者の配偶者が確定申告不要制度を選択した上場株式の配当に係る配当所得が60万円である場合、当該配偶者の合計所得金額が58万円を超えるため、納税者は配偶者控除の適用を受けることはできない。
  4. 納税者の扶養親族のうち、2010年1月1日以前生まれの者は、2025年分の所得税において控除対象扶養親族に該当し、納税者はその者に係る扶養控除の適用を受けることができる。

正解 4

問題難易度
肢119.1%
肢211.2%
肢315.0%
肢454.7%

解説

  1. 不適切。雑損控除には、損害を受けた資産が棚卸資産、事業用資産および生活に通常必要でない資産でないことという要件があります。本肢は「事業用固定資産の損害」ですから雑損控除の適用を受けることはできません。
    個人事業主である納税者が所有する棚卸資産が災害により損壊して損失が生じた場合、当該納税者は、その損失の金額の多寡にかかわらず、雑損控除の適用を受けることができない。2024.9-27-2
    個人事業主である納税者が、所有する事業用固定資産について災害によって一定額以上の損失が生じた場合、確定申告をすることにより、雑損控除の適用を受けることができる。2020.9-28-2
  2. 不適切。iDeCoや小規模企業共済の掛金等を拠出した場合には、その全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となりまが、控除できる対象者は加入者本人のみです。iDeCoの掛金は加入者本人の口座から引き落とされるようになっており、形式上は配偶者の掛金を納税者が支払うことはできません。
    納税者が生計を一にする配偶者に係る確定拠出年金の個人型年金加入者掛金を支払った場合、その支払った掛金は納税者の小規模企業共済等掛金控除の対象となる。2021.9-27-3
    納税者が生計を一にする配偶者に係る確定拠出年金の個人型年金の掛金を支払った場合、配偶者の合計所得金額が58万円以下であるときは、その支払った掛金は納税者の小規模企業共済等掛金控除の対象となる。2019.5-27-3
  3. 不適切。上場株式の配当に係る配当所得は、確定申告した場合は合計所得金額に含まれるのに対して、確定申告不要制度を選択した場合は合計所得金額に含まれません。したがって、当該配偶者の他の所得の合計が58万円以下であれば、配偶者控除の適用対象となります。
  4. [適切]。扶養控除に係る扶養親族の年齢は、その年の12月31日時点の年齢で判定します。法律上は誕生日の前日に年齢が1つ上がることになっているので、2025年12月31日は、2010年1月1日生まれの人がちょうど16歳になる日です。したがって、2010年1月1日以前生まれの者は、控除対象扶養親族に該当すると言えます。
したがって適切な記述は[4]です。