FP1級過去問題 2019年1月学科試験 問40

問40

「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」(相続税の取得費加算の特例。以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 相続または遺贈により取得した資産を、当該相続の開始があった日の翌日から3年を経過した日以後に譲渡した場合は、本特例の適用を受けることはできない。
  2. 相続または遺贈により取得した資産を、譲渡者の親族や同族会社などの特殊関係者に譲渡した場合は、本特例の適用を受けることはできない。
  3. 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の敷地である土地を譲渡した場合に、「被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除」の適用を受けるときは、本特例の適用を受けることはできない。
  4. 相続または遺贈により取得した土地を譲渡した場合に、譲渡所得の金額の計算上、収入金額の5%相当額を当該土地の取得費とするときは、本特例の適用を受けることはできない。

正解 3

問題難易度
肢117.3%
肢220.2%
肢356.1%
肢46.4%

解説

  1. 不適切。相続税の取得費加算の特例は、相続の開始があった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以降3年を経過する日(つまり、相続開始日の翌日から3年10か月後)までに譲渡していなければ適用を受けることはできません。本肢は「相続の開始があった日の翌日から3年」としているので誤りです。
  2. 不適切。相続税の取得費加算の特例は、譲渡した相手に関する要件はないため、親族や同族会社などの特殊関係者に譲渡した場合でも適用を受けることができます。
  3. [適切]。相続税の取得費加算の特例」と「被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除」は重複して適用を受けることはできず、選択適用となります。
    Aさんが、2年前に父の相続により取得した実家(建物とその敷地)を譲渡した場合、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」と「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」(相続税の取得費加算の特例)について重複して適用を受けることができる。2022.9-40-1
    相続により取得した被相続人居住用家屋およびその敷地等を譲渡した者が当該相続に係る相続税を納付している場合、本特例と「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」(相続税の取得費加算の特例)の適用を重複して受けることができる。2017.1-40-4
  4. 不適切。実際の取得費よりも「収入金額の5%相当額」の金額の方が高いときは収入金額の5%相当額を取得費とすることができますが、その場合でも相続税の取得費加算の特例の適用を受けることは可能です。
したがって適切な記述は[3]です。