FP1級 2019年5月 応用編 問60
Aさん(66歳)は、妻Bさん(60歳)とともに、15年前に父親から相続により取得した自宅で暮らしている。Aさんが暮らしている自宅は、Aさんの父親が45年前に建築したものであり、老朽化が進んでいる。
そこで、Aさんは、老朽化した自宅の建物(床面積150㎡)について、バリアフリー化を含めた改築を行うか、建て替えるか、その敷地である甲土地とともに売却して新たな戸建て住宅を購入して移り住むかを検討している。甲土地の概要は、以下のとおりである。
〈甲土地の概要〉
そこで、Aさんは、老朽化した自宅の建物(床面積150㎡)について、バリアフリー化を含めた改築を行うか、建て替えるか、その敷地である甲土地とともに売却して新たな戸建て住宅を購入して移り住むかを検討している。甲土地の概要は、以下のとおりである。
〈甲土地の概要〉
- 甲土地は375㎡の長方形の土地であり、第一種中高層住居専用地域に属する部分は150㎡、第一種住居地域に属する部分は225㎡である。
- 幅員2mの公道は、建築基準法第42条第2項により特定行政庁の指定を受けた道路である。2m公道の道路中心線は、当該道路の中心部分にある。また、2m公道の甲土地の反対側は宅地であり、がけ地や川等ではない。
- 甲土地は、建蔽率の緩和に関する角地の指定は受けていない。
- 指定建蔽率および指定容積率とは、それぞれ都市計画において定められた数値である。
- 特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問60
建築基準法の規定およびバリアフリー改修工事に係る優遇措置に関する以下の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。- 〈建築基準法の規定〉
甲土地上の第一種中高層住居専用地域に属する部分および第一種住居地域に属する部分にまたがって建築物を建築する場合、その全部について、(①)地域の建築物の用途に関する規定が適用される。
また、建築基準法では、都市計画区域と準都市計画区域内において、用途地域等に応じて、建築物の高さの制限を定めている。甲土地に建築する建築物に適用される高さの制限には(②)斜線制限と隣地斜線制限があり、さらに第一種中高層住居専用地域内においては、『日影による中高層の建築物の高さの制限』が適用される場合を除き、(③)斜線制限がある。
なお、天空率により計算した採光、通風等が各斜線制限により高さが制限された場合と同程度以上である建築物については、各斜線制限は適用されない。 - 〈バリアフリー改修工事に係る優遇措置〉
自宅の建物に一定のバリアフリー改修工事を行った者に対しては、所定の要件のもと、所得税や固定資産税において優遇措置が設けられている。Aさんが2024年中に自宅の建物について一定のバリアフリー改修工事を行った場合、所定の要件を満たせば、当該改修工事に係る標準的な費用の額(補助金等の交付を受ける場合はその額を控除した金額で、200万円を限度)の(④)%相当額をその年分の所得税額から控除することができる。また、バリアフリー改修工事について一定の借入金を有し、所定の要件を満たす場合は、住宅借入金等特別控除または特定増改築等住宅借入金等特別控除を選択することもできる。
さらに、地方税法において、自宅の建物について一定のバリアフリー改修工事を行った場合、所定の要件を満たせば、当該建物に係る翌年度分の固定資産税について、床面積(⑤)㎡までの部分に対する税額の(⑥)相当額が当該建物に係る固定資産税額から減額される。
①地域 |
②斜線制限 |
③斜線制限 |
④% |
⑤㎡ |
⑥ |
正解
① 第一種住居(地域) |
② 道路(斜線制限) |
③ 北側(斜線制限) |
④ 10(%) |
⑤ 100(㎡) |
⑥ 3分の1 |
分野
科目:E.不動産細目:3.不動産に関する法令上の規制
解説
〔①について〕
建築物の敷地が2以上の用途地域にわたっている場合、その敷地の過半が属する区域の用途制限が適用されます。甲土地は、半分を超える部分が第一種住居地域に属しているので、第一種住居地域の用途制限が適用されます。
よって、正解は第一種住居(地域)です。
〔②、③について〕
都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に適用される斜線制限には次の3つがあります。建築物の敷地が2以上の用途地域にわたっている場合には、用途地域ごとに斜線制限が適用されます。
よって、②は道路(斜線制限)、③は北側(斜線制限)が正解となります。〔④について〕
個人が、既存住宅について標準的な費用の額(補助金等控除後)が50万円である特定の改修工事をした場合、改修工事の種別ごとに次に掲げる額を控除対象限度額として、改修工事に要する標準的な費用の額の10%の税額控除を受けることができます。この税額控除の適用を受けるには、適用を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下でなければなりません。
一定のバリアフリー改修工事を行った場合、住宅特定改修特別税額控除として、改修工事の標準的な費用の額(最高200万円)の10%相当額をその年分の所得税額から控除することができます。
よって、正解は10(%)です。
〔⑤、⑥について〕
新築後10年以上を経過した住宅に対して一定のバリアフリー改修工事を行った場合、バリアフリー改修工事完了日の翌年に限り、当該バリアフリー基準適合住宅の固定資産税額のうち1戸当たり100㎡までの部分が3分の1軽減されます。対象となるバリアフリー工事は費用が50万円超のものであり、賃貸住宅は対象外となっています。
よって、⑤は100(㎡)、⑥3分の1が正解です。
建築物の敷地が2以上の用途地域にわたっている場合、その敷地の過半が属する区域の用途制限が適用されます。甲土地は、半分を超える部分が第一種住居地域に属しているので、第一種住居地域の用途制限が適用されます。
よって、正解は第一種住居(地域)です。
〔②、③について〕
都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に適用される斜線制限には次の3つがあります。建築物の敷地が2以上の用途地域にわたっている場合には、用途地域ごとに斜線制限が適用されます。
- 道路斜線制限
- 道路の日照や通風に支障を来さないように、道路の反対側の境界線からの斜線で高さを制限する。すべての用途地域に適用される
- 隣地斜線制限
- 高さ20mまたは31mの位置からの斜線で高さを制限する。より厳しい絶対高さ制限がある第一種・第二種低層、田園住居以外の地域に適用される
- 北側斜線制限
- 住居専用地域において、敷地北側境界線上の5mまたは10mの位置からの斜線で高さを制限する。第一種・第二種低層、田園住居、第一種・第二種中高層の5つの地域に適用される
※中高層住居地域では日影規制の対象区域を除く
よって、②は道路(斜線制限)、③は北側(斜線制限)が正解となります。〔④について〕
個人が、既存住宅について標準的な費用の額(補助金等控除後)が50万円である特定の改修工事をした場合、改修工事の種別ごとに次に掲げる額を控除対象限度額として、改修工事に要する標準的な費用の額の10%の税額控除を受けることができます。この税額控除の適用を受けるには、適用を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下でなければなりません。
- バリアフリー改修 200万円
- 三世代同居対応改修 250万円
- 省エネ改修 250万円※
- 耐震改修+耐久性向上改修 250万円
- 省エネ改修+耐久性向上改修 250万円※
- 耐震改修+省エネ改修+耐久性向上改修 500万円※
- 子育て対応改修工事 250万円(2024.4~2024.12.31の間に居住用に供した場合に限る)
一定のバリアフリー改修工事を行った場合、住宅特定改修特別税額控除として、改修工事の標準的な費用の額(最高200万円)の10%相当額をその年分の所得税額から控除することができます。
よって、正解は10(%)です。
〔⑤、⑥について〕
新築後10年以上を経過した住宅に対して一定のバリアフリー改修工事を行った場合、バリアフリー改修工事完了日の翌年に限り、当該バリアフリー基準適合住宅の固定資産税額のうち1戸当たり100㎡までの部分が3分の1軽減されます。対象となるバリアフリー工事は費用が50万円超のものであり、賃貸住宅は対象外となっています。
よって、⑤は100(㎡)、⑥3分の1が正解です。
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