FP1級 2019年5月 応用編 問64

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問64

《設例》の〈Aさんに関する資料〉に基づき、Aさんの相続における相続税の総額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は万円単位とすること。
なお、長男Cさんは葬儀費用200万円を支払っており、その全額が債務控除の対象となるものとする。また、自宅の敷地は特定居住用宅地等に該当し、X社本社の敷地は特定同族会社事業用宅地等に該当するものとして「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けるものとし、相続税の総額が最も少なくなるように計算すること。
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万円

正解 

 10,520(万円)
6,000万円-(6,000万円×300㎡300㎡×80%)=1,200万円
7,500万円-(7,500万円×400㎡500㎡×80%)=2,700万円
6,000万円-(500万円×4人)=4,000万円
7,000万円+2億8,000万円+500万円+1,200万円+3,000万円+2,700万円+4,000万円-200万円=4億6,200万円
3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円
4億6,200万円-5,400万円=4億800万円
4億800万円×1/2×45%-2,700万円=6,480万円
4億800万円×1/8×30%-700万円=830万円
4億800万円×1/8×30%-700万円=830万円
4億800万円×1/4×40%-1,700万円=2,380万円
6,480万円+830万円+830万円+2,380万円=1億520万円(10,520万円)

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:4.相続と税金

解説

相続税の総額を求める手順は次のとおりです。
  1. 相続税の課税価格から遺産に係る基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を求める
  2. 課税遺産総額を法定相続分で各人に配分する
  3. 各人の取得金額を速算表に当てはめて、税額を計算する
  4. 全員分の税額を計算して、相続税の税額とする
本問では相続税の課税価格が与えられていないので、そこから計算しなければなりません。
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Aさんが所有していた相続財産と死亡保険金を単純に合計すると5億8,000万円になりますが、自宅の敷地については「特定居住用宅地等」、X社本社の敷地については「特定同族会社事業用宅地等」に該当し、死亡保険金については「500万円×法定相続人の数」までが非課税となるので、この3つの減額分を差し引く必要があります。

【自宅の敷地の減額分】
330㎡が適用限度面積なので、全部について80%減額されます。
 6,000万円×80%=4,800万円

【X社本社の敷地の減額分】
適用限度面積の調整なく400㎡まで適用を受けられるので、500㎡のうち400㎡部分が80%減額されます。
 7,500万円×400㎡500㎡×80%=4,800万円

【死亡保険金の非課税額】
法定相続人は妻Bさん、妻Bさん、長男Cさん、二女Eさん、孫Gさんの4人です。孫Gさんは普通養子であり長女Dさんの代襲相続人である「二重相続資格者」ですが、相続税法上の法定相続人の数としては1人してカウントします。
 500万円×4人=2,000万円

上記の3つを相続財産から差し引くと、

 5億8,000万円-4,800万円-4,800万円-2,000万円=4億6,400万円

さらに長男Cさんの葬儀費用200万円を引いた額が、相続税の課税価格となります。

 4億6,400万円-200万円=4億6,200万円

前述のとおり法定相続人は4人なので、遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×4人=5,400万円」、よって課税遺産総額は、

 4億6,200万円-5,400万円=4億800万円

この金額を法定相続分に従って各人に配分すると、
  • 妻Bさん … 4億800万円×1/2=2億400万円
  • 長男Cさん・二女Eさん … 4億800万円×1/8=5,100万円
  • 孫Gさん(子2人分) … 4億800万円×1/4=1億200万円
各人の相続税額は、
  • 妻Bさん … 2億400万円×45%-2,700万円=6,480万円
  • 長男Cさん・二女Eさん … 5,100万円×30%-700万円=830万円
  • 孫Gさん … 1億200万円×40%-1,700万円=2,380万円
以上より相続税の総額は、

 6,480万円+830万円×2+2,380万円=10,520万円(1億520万円)

よって、正解は1億520(万円)です。