FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問5

問5

公的年金制度の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
  1. 厚生年金保険の被保険者が死亡し、その者に国民年金の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間が36月以上あった場合、所定の要件を満たす遺族は、遺族厚生年金および死亡一時金の支給を受けることができる。
  2. 遺族厚生年金の支給を受けている者の収入が年額850万円以上または所得が年額655万5,000円以上となった場合、翌年の遺族厚生年金の支給が停止される。
  3. 夫が厚生年金保険の被保険者期間中に死亡し、妻が遺族厚生年金の受給権のみを取得し、かつ、夫の死亡当時における妻の年齢が30歳未満である場合、当該妻に対する遺族厚生年金の支給期間は、当該受給権を取得した日から最長10年間となる。
  4. 寡婦年金は、夫の死亡当時、夫によって生計を維持し、かつ、夫との婚姻関係が5年以上継続した65歳未満である妻に対して支給され、その支給期間は妻が60歳から65歳になるまでの間の最長5年間となる。

正解 1

問題難易度
肢153.2%
肢222.9%
肢38.5%
肢415.4%

解説

  1. [適切]。死亡一時金は、保険料の掛け捨てを防止するための給付で、第1号被保険者としての保険料納付済期間が36月以上ある人が、老齢基礎年金または障害基礎年金を受け取らずに死亡し、生計を一にしていた遺族が遺族基礎年金を受給できない場合に、一定金額が支給される制度です(国年法52条の2)。
    遺族が、遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されませんが、遺族厚生年金と死亡一時金は併給可能です。
  2. 不適切。受給権発生時に前年収入が850万円以上、または前年所得が655万5,000円以上だと生計維持要件を満たさないため受給権を取得できません。生計維持要件は受給権の発生時に満たしていれば足り、受給権の取得以降に収入が増えて年収850万円以上(所得655万5,000円以上)になっても支給停止や減額はされません。
  3. 不適切。10年ではありません。夫の死亡時、子のいない30歳未満の妻が遺族厚生年金を受給する場合、遺族厚生年金は受給権を取得した日から5年間の有期年金となります(厚年法63条1項5号)。
  4. 不適切。5年以上ではありません。寡婦年金は、第1号被保険者として保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上ある夫が亡くなった時に、10年以上継続して婚姻関係(事実婚含む)にあり、生計を維持されていた妻に対して60歳から65歳到達月までの間支給されます(国年法49条)。死亡一時金とは選択適用となります。年金額は、夫の第1号被保険者期間を基に算定した老齢基礎年金額の4分の3です(国年法50条)。
したがって適切な記述は[1]です。