FP1級過去問題 2019年9月学科試験 問4

問4

老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 付加保険料納付済期間を有する者が老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、付加年金は、老齢基礎年金と同様に、繰り下げた月数に応じて増額される。
  2. 66歳到達時に老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、その受給権を取得した者が、70歳到達日に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢基礎年金の増額率は33.6%である。
  3. 障害基礎年金を受給している者が65歳到達時に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金の支給を繰り下げることはできない。
  4. 65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者である者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。

正解 3

問題難易度
肢110.9%
肢212.5%
肢365.7%
肢410.9%

解説

  1. 適切。繰上げ・繰下げを申し出た場合、付加年金も老齢基礎年金と同じ増減率によって増減額されます(国年法46条2項)。
  2. 適切。繰下げ支給を選択すると繰下げ1月あたり0.7%増額となります。66歳時に老齢基礎年金の受給資格期間を満たして、70歳に受け取るということは4年(48月)の繰下げ支給になり、「0.7%×48月=33.6%」増加することになります。65歳到達時に老齢基礎年金の受給資格期間を満たして66歳で繰下げ請求するケースとは異なるので注意しましょう。
    1958年1月28日生まれの遺族厚生年金を受給している女性が、65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得する場合、67歳に達した月に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができる。2023.5-5-4
    障害基礎年金の受給権者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができず、65歳から障害基礎年金と老齢厚生年金を受給することになる。2021.5-4-1
    遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢基礎年金に加えて、遺族厚生年金としてその3分の2相当額と老齢厚生年金としてその2分の1相当額を受給することができる。2021.1-5-4
    65歳到達時に老齢基礎年金の受給権を取得し、70歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかった者は、70歳到達時、5年分の年金を一括して受給するか繰下げ支給の申出をするかを選択することができる。2020.1-4-4
    障害基礎年金を受給している者が65歳到達時に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金の支給を繰り下げることはできない。2019.9-4-3
    障害基礎年金の受給権者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができず、65歳から障害基礎年金と老齢厚生年金を受給することになる。2016.9-4-2
    遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、いずれか一方の年金を選択して受給することになる。2015.9-5-1
    障害基礎年金の受給権者が65歳到達日に老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、障害基礎年金と老齢厚生年金の組合せによる年金の受給を選択することができる。2015.9-5-2
    障害基礎年金のみを受給しているCさんが、65歳到達時に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金の支給を繰り下げることはできない。2014.1-7-3
  3. [不適切]。65歳以降は、障害基礎年金と老齢厚生年金の併給ができるため、老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害基礎年金の受給権者であった者は、老齢厚生年金の繰下げ請求ができます。一方、老齢厚生年金の受給権を取得したときに障害厚生年金・遺族厚生年金の受給権者であった者は、繰下げ請求ができません。
    1958年1月28日生まれの遺族厚生年金を受給している女性が、65歳に達して老齢基礎年金の受給権を取得する場合、67歳に達した月に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができる。2023.5-5-4
    障害基礎年金の受給権者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができず、65歳から障害基礎年金と老齢厚生年金を受給することになる。2021.5-4-1
    遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢基礎年金に加えて、遺族厚生年金としてその3分の2相当額と老齢厚生年金としてその2分の1相当額を受給することができる。2021.1-5-4
    65歳到達時に老齢基礎年金の受給権を取得し、70歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかった者は、70歳到達時、5年分の年金を一括して受給するか繰下げ支給の申出をするかを選択することができる。2020.1-4-4
    66歳到達時に老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、その受給権を取得した者が、70歳到達日に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢基礎年金の増額率は33.6%である。2019.9-4-2
    障害基礎年金の受給権者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得した場合、当該受給権者は、老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができず、65歳から障害基礎年金と老齢厚生年金を受給することになる。2016.9-4-2
    遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、いずれか一方の年金を選択して受給することになる。2015.9-5-1
    障害基礎年金の受給権者が65歳到達日に老齢厚生年金の受給権を取得した場合は、障害基礎年金と老齢厚生年金の組合せによる年金の受給を選択することができる。2015.9-5-2
    障害基礎年金のみを受給しているCさんが、65歳到達時に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金の支給を繰り下げることはできない。2014.1-7-3
  4. 適切。老齢厚生年金の受給権を取得したものが、65歳以降も引き続き被保険者として働く場合、収入が一定額を超える時には、在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金が減額調整されます。この減額調整によって支給停止された部分の年金は繰下げによる増額の対象となりません。例えば、70歳まで繰り下げた人が、65歳から70歳の間に在職老齢年金の仕組みにより平均して40%支給停止された場合、70歳から本来受け取る年金額のうち60%だけに増額率42%が適用されることとなります。
    加給年金額が加算される老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の額は繰下げ加算額を加算した額とされるが、加給年金額については支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2021.5-4-3
    65歳以上の厚生年金保険の被保険者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2021.1-3-4
    加給年金対象者である配偶者を有するCさん(67歳)に対する老齢厚生年金について、在職支給停止の仕組みにより、その一部が支給停止となる場合、老齢厚生年金に加算される加給年金額についても、その一部が支給停止となる。2019.1-3-3
    65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者である者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職支給停止の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。2017.9-4-4
    加給年金額が加算される老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の額は繰下げ加算額を加算した額とされるが、加給年金額については繰下げしても増額されない。2016.9-4-4
したがって不適切な記述は[3]です。