FP1級 2020年1月 応用編 問63
非上場会社のX株式会社(以下、「X社」という)の代表取締役社長であるAさん(66歳)の推定相続人は、妻Bさん(68歳)、長男Cさん(42歳)および長女Dさん(40歳)の3人である。Aさんは、今後数年のうちに、所有するX社株式をX社の専務取締役である長男Cさんに移転して、勇退することを考えており、X社株式の移転にあたって、その評価額を引き下げる方策を検討している。
また、Aさんは、X社本社建物の敷地(本社建物はX社が所有)を所有しており、「土地の無償返還に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しているが、X社に無償で使用させ、地代はいっさい収受していない。当該敷地については、自身の相続が開始した際に長男Cさんが取得するように遺言を残しておくことを考えている。
X社の概要は、以下のとおりである。
〈X社の概要〉
また、Aさんは、X社本社建物の敷地(本社建物はX社が所有)を所有しており、「土地の無償返還に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しているが、X社に無償で使用させ、地代はいっさい収受していない。当該敷地については、自身の相続が開始した際に長男Cさんが取得するように遺言を残しておくことを考えている。
X社の概要は、以下のとおりである。
〈X社の概要〉
- 業種 繊維工業
- 資本金等の額 6,000万円(発行済株式総数120,000株、すべて普通株式で1株につき1個の議決権を有している)
- 株主構成
- 株式の譲渡制限 あり
- X社株式の評価(相続税評価額)に関する資料
- X社の財産評価基本通達上の規模区分は「中会社の中」である。
- X社は、特定の評価会社には該当しない。
- 比準要素の状況
- すべて1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額である。
- 類似業種の1株(50円)当たりの株価の状況
課税時期の属する月の平均株価 289円
課税時期の属する月の前月の平均株価 280円
課税時期の属する月の前々月の平均株価 266円
課税時期の前年の平均株価 259円
課税時期の属する月以前2年間の平均株価 251円
- X社の資産・負債の状況
直前期のX社の資産・負債の相続税評価額と帳簿価額は、次のとおりである。
- 上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
問63
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、端数処理は、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。なお、X社株式の類似業種比準価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、できるだけ低い価額となる方法を選択するものとする。
円 |
正解
1,777(円) 6,000万円÷120,000株=500円
251円×5.0円4.1円+26円22円+280円239円3×0.6×500円50円 =251円×1.21+1.18+1.173×0.6×500円50円 =251円×1.18×0.6×10 =177.7円×10 =1,777円 |
分野
科目:F.相続・事業承継細目:5.相続財産の評価(不動産以外)
解説
類似業種比準価額は、本問のように主として大会社・中会社である非上場会社の株式を同族株主が贈与・相続等により取得した場合、株式の算定に用いる方法です(財評通180~184)。
類似業種比準価額は、類似業種の1株当たりの価格を基礎として、次の算式により配当金額、利益金額、簿価純資産額の3つの要素を比較することで、非上場株式の価格を求めます。なお、計算式中ではすべて1株当たり資本金等の額を50円としたときの金額を用います。類似業種比準価額では、配当金額と利益金額が□□□円になっていたり、複数の業種目の価額を比較するなどの問題も出題されますが、本問はどちらもないので素直な問題と言えます。
まず、対象となる類似業種の株価を選びます。類似業種の株価は、①評価月、②前月、③前々月、④前年の平均、⑤直近2年間の平均のうち最も低いものを選択します。5つの株価のうち最も低いのは、直近2年間の平均株価251円なのでこれを使います。
斟酌率の基準となる会社の規模は中会社なので、斟酌率は0.6です。計算式に従って類似業種比準価額を求めます。
251円×5.0円4.1円+26円22円+280円239円3×0.6
=251円×1.21+1.18+1.173×0.6(小数点第2位未満切り捨て)
=251円×1.18×0.6(小数点第2位未満切り捨て)
=177.7円(10銭未満切り捨て)
この額は1株当たり50円としたときの価額なので、X社の実際の1株当たり資本金等の額に相当する額に還元します。X社の1株当たり資本金等の額は「6,000万円÷12万株=500円」なので、計算した金額に乗じる1株当たりの資本金等の額の50円に対する倍数は「500円÷50円=10倍」です。計算の意味としては50で割って1円当たりの金額を求め、それを500倍する形です。
177.7円×500円50円=177.7円×10倍=1,777円
したがって正解は1,777(円)となります。
類似業種比準価額は、類似業種の1株当たりの価格を基礎として、次の算式により配当金額、利益金額、簿価純資産額の3つの要素を比較することで、非上場株式の価格を求めます。なお、計算式中ではすべて1株当たり資本金等の額を50円としたときの金額を用います。類似業種比準価額では、配当金額と利益金額が□□□円になっていたり、複数の業種目の価額を比較するなどの問題も出題されますが、本問はどちらもないので素直な問題と言えます。
まず、対象となる類似業種の株価を選びます。類似業種の株価は、①評価月、②前月、③前々月、④前年の平均、⑤直近2年間の平均のうち最も低いものを選択します。5つの株価のうち最も低いのは、直近2年間の平均株価251円なのでこれを使います。
斟酌率の基準となる会社の規模は中会社なので、斟酌率は0.6です。計算式に従って類似業種比準価額を求めます。
251円×5.0円4.1円+26円22円+280円239円3×0.6
=251円×1.21+1.18+1.173×0.6(小数点第2位未満切り捨て)
=251円×1.18×0.6(小数点第2位未満切り捨て)
=177.7円(10銭未満切り捨て)
この額は1株当たり50円としたときの価額なので、X社の実際の1株当たり資本金等の額に相当する額に還元します。X社の1株当たり資本金等の額は「6,000万円÷12万株=500円」なので、計算した金額に乗じる1株当たりの資本金等の額の50円に対する倍数は「500円÷50円=10倍」です。計算の意味としては50で割って1円当たりの金額を求め、それを500倍する形です。
177.7円×500円50円=177.7円×10倍=1,777円
したがって正解は1,777(円)となります。
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