FP1級 2020年1月 応用編 問64

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問64

《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの①純資産価額と②類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額を、それぞれ求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は円未満を切り捨てて円単位とすること。
なお、X社株式の相続税評価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、できるだけ低い価額となる方法を選択するものとする。

正解 

① 3,120(円)
② 2,112(円)

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:5.相続財産の評価(不動産以外)

解説

〔①について〕
純資産価額方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。1株当たりの純資産価額は、以下の式で求めます。
純資産価額方式では相続税評価額での純資産を評価基準にするので、総資産と負債額は帳簿価額ではなく相続税評価額を使用します。

(7)の資料より、総資産額は71,000万円、負債額は31,300万円なので、相続税評価による純資産額は次のとおりです。

 71,000万円-31,300万円=39,700万円

ここから「評価差額に対する法人税等額」を控除します。評価差額とは、相続税評価による純資産額と帳簿価額による純資産額の差額のことで、この額は会社を解散したときに所得として課税される金額となるので、そのときに支払う法人税等額の額を控除してあげるというものです。控除する法人税等額の割合は、法人税、法人事業税、法人住民税の合計割合なので適時変更されますが、2022年現在は37%です。

相続税評価による純資産額は先程計算した39,700万円、帳簿価額による純資産額は「64,900万円-31,300万円=33,600万円」なので、評価差額に対する法人税等額は、

 (39,700万円-33,600万円)×37%=2,257万円

X社の発行済株式数は120,000株なので、上記の式に各金額を当てはめると、

 (39,700万円-2,257万円)÷12万株=3,120.25円
(円未満切り捨て)3,120円

よって、正解は3,120(円)となります。

〔②について〕
中会社は、原則として類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式で評価しますが、純資産価額が低い場合にはそちらを評価額とすることもできます。併用方式は、両方の価格を所定の繰入割合で按分計算する方法で、繰入割合は会社規模によって以下のように決まっています。
X社は「中会社の中」ですので、類似業種比準価額の75%と純資産価額の25%の合計が評価額となります。類似業種比準価額は問63で求めた1,777円、純資産価額は①で求めた3,120円なので、

 1,777円×0.75+3,120円×0.25
=1,332.75円+780円=2,112.75円
(円未満切り捨て)2,112円

純資産価額3,120円>併用方式2,112円なので、より低い価額である併用方式の価額を採用します。
よって、正解は2,112(円)となります。