FP1級 2020年9月 応用編 問53

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問53

Aさんが、2020年10月末日付けでX社を退職し、同年11月から60歳に達するまでの期間(239月)について、国民年金の第1号被保険者として国民年金の定額保険料と付加保険料を納付した場合、Aさんが原則として65歳から受給することができる公的年金の老齢給付について、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、年金額の端数処理は、円未満を四捨五入すること。
なお、計算にあたっては、《設例》の〈Aさんの家族に関する資料〉および下記の〈条件〉に基づき、年金額は2020年度価額に基づいて計算するものとする。

  1. 老齢基礎年金の年金額と付加年金の年金額の合計額はいくらか。
  2. 老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額)はいくらか。
〈条件〉
  1. 厚生年金保険の被保険者期間
    211月
  2. 平均標準報酬額
    37万1,000円(2020年度再評価率による額)
  3. 報酬比例部分の給付乗率
    1,000分の5.481
  4. 経過的加算額
    53.png./image-size:535×73
  5. 加給年金額
    39万900円(要件を満たしている場合のみ加算すること)

正解 

① 780,644(円)
781,700円×450月480月=732,844円(円未満四捨五入)
200円×239月=47,800円
732,844円+47,800円=780,644円
② 429,366(円)
371,000円×5.4811,000×211月=429,058円(円未満四捨五入)
1,630円×211月-781,700円×211月480月=308円(円未満四捨五入)
429,058円+308円=429,366円

分野

科目:A.ライフプランニングと資金計画
細目:5.公的年金

解説

〔①について〕
2020年度の老齢基礎年金の年金額は、以下の算式で求めます。

 781,700円×保険料納付月数480月

保険料の全額免除や一部免除の期間がある場合は、その免除割合によって以下の条件に基づき保険料納付月数に加算されます。
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Aさんは480月のうち、学生納付特例猶予(30月)、厚生年金保険の被保険者期間(211月)、退職した翌月から60歳に達するまでの期間は239月(問題文より)のため、学生納付特例猶予(30月)を除いた「480月-30月=450月」が保険料納付月数となります。

 781,700円×450月480月=732,843.7…
(円未満を四捨五入して)732,844円

付加年金の額は「200円×付加保険料納付済月数」で求めます。Aさんの付加保険料納付済月数は239月のため、

 200円×239月=47,800円

したがって、老齢基礎年金の年金額と付加年金の年金額の合計額は、

 732,844円+47,800円=780,644円

よって、正解は780,644(円)です。

〔②について〕
65歳以降に受け取る老齢厚生年金の年金額は、以下の算式で求めます。

 報酬比例部分の額+経過的加算額+加給年金額

【報酬比例部分の額】
以下で算出される合計額になります。
  • 平均標準報酬月額×7.1251,000×2003年3月以前の被保険者期間月数
  • 平均標準報酬月額×5.4811,000×2003年4月以降の被保険者期間月数
Aさんの厚生年金被保険者期間は211月(すべて2003年4月以降)なので、報酬比例部分の額は、

 371,000円×5.4811,000×211月=429,058.1…
(円未満を四捨五入して)429,058円

【経過的加算額】
定額部分から老齢基礎年金相当額を差し引いた金額となります。2020年度の老齢基礎年金の満額は781,700円で、被保険者期間の月数は211月のため、(4)の計算式にあてはめると、

 1,630円×211月-781,700円×211月480月=307.7…
(円未満を四捨五入して)308円

【加入年金額】
以下の条件を満たすときに支給されます。
53_2.png./image-size:500×220
Aさんの厚生年金被保険者期間は211月<240月なので、支給対象外です。

以上より、老齢厚生年金の年金額は、

 429,058円+308円=429,366円

よって、正解は429,366(円)です。